ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)

極度の貧困は根絶できるはずだ
私たちの孫の時代ではなく、
私たちの世代のうちに
極度の貧困は根絶できるはずだ  私たちの孫の時代ではなく、私たちの世代のうちに

ケニアのビレッジが干ばつにより緊急事態になっています!

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【写真左: 干ばつの影響で立ち上がれず、棒を使っても歩かせることができなくなった駱駝】
【写真右:乾いて地表が露出した河川】

ソニア・サックス博士から、ケニアのミレニアム・ビレッジ、Dertuが干ばつにより、厳しい状況に陥っているというレポートが届きました。
Dertuはケニアの北部にあり、もともとは遊牧民の村です。ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトにとっても、遊牧民の定住と自立を図るという目的達成に向けて努力している特別な村でもあります。設立当初から日本政府が支援しているため、現地の担当者は日本に対して非常に良い印象を持ってくださり、エチオピアの会議でお会いした時も、わざわざ挨拶に来てくれました。
彼らがこの危機を乗り越えることができるよう、皆様のご協力をお願いします!

鈴木りえこ

 

アフリカの角と大陸東部を襲った2009年の壊滅的な干ばつ

 

Dertuミレニアム・ビレッジでの経験と対処方法

気候変動がケニア北部およびDertuで現実のものとなっている。2006年11月、12月以来この地域ではにわか雨しか降らず、遊牧を基本とする地域の牧草地と水の状態は次第に悪化していった。さらに2009年4月、5月は雨に恵まれなかったため干ばつは次第に悪化し、遊牧民のコミュニティはパニックに陥り始めた。伝統的なやり方に従って地域住民は渇いたラクダや牛のほとんどを(沿岸沿いの)ソマリア奥地の改良地域やエチオピアの高地に移したが、羊、ヤギ、乳牛、駱駝の雌親、さらにロバについては地域内にとどめ置かざるを得なかった。間もなく河川が乾き地表が露出して牧草地と水の距離が広がり(写真1a)、気温の上昇によって牧草が茶から黒へと変色した(写真1b)。その結果Dertuや周辺の村に残されたやぎ、羊、畜牛およびロバが推定で30%以上失われ、干ばつに最も強い駱駝さえも犠牲になった(写真1c)。また2007年の初めにコミュニティが地元で作った数千の干し草ロールや蓄えておいた鞘が2009年9月には底をついた。
そこで住民たちは伝統的な対処法に従って子牛、子ヤギや子羊を殺し、希少な常緑樹を切り落とし、家畜を遠く隔絶された牧草地へと移動させた。弱り始めた家畜の間には日和見感染が広がり始め、さらに数少ない安全な井戸から塩水が出たことで状況は一層悪化した。加えて家畜の値段は通常の市場価格よりも70%以上も下落した。このような状況を受けて災害弱者(5歳未満の子供たち、妊婦、授乳中の女性や高齢者)の栄養不足は顕著となり、牧畜農家からは脆弱な者たちが政府やパートナーたちから食糧、水や医療支援を受けるために入植地に移住した。
他方普段は用心深い野生動物も難を逃れることはできず、生きるために町や入植地、さらに主要な道路に徐々に姿を現し始めた。イボイノシシや鳥などの草食動物は死んだ動物を食べざるを得ず、さらにイボイノシシが生きた山羊や羊、さらには自らの子供を食べているのが目撃されいる。
地域の政府とコミュニティは食糧支援、治療および給水などの形での支援を外部に求め始めた。しかし干ばつがあまり深刻で、問題があまりに広範囲に及び、さらに他の地域に対する約束もあるため、開発パートナーからは十分な支援を受けることはできなかった。代わりに地域政府は自らが保有するわずかな資源を動員し、またDertuのミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(以下MVP)などの研究開発プロジェクトが被害への対応を余儀なくされた。
畜産省の支援を受けたMVP-Dertuは家畜に対する集団治療とワクチン接種を通じて2009年7月にDertuおよび近隣の村で活動を開始した。予期される干ばつを乗り越えることができるよう、およそ3万頭の家畜に治療を施し、ワクチンを接種した。さらにプロジェクトは月一回の総合的な訪問医療サービスと、Dertuの診療所に対して必須薬品を提供している。
2009年8月にプロジェクトが実施した干ばつの調査では、過去3年間で上げた成果が干ばつにより損なわれていることが確認された。そこで東部および南部アフリカMDGセンター、地球研究所、ミレニアム・プロミスおよびその他のパートナーの支援を受けて、プロジェクトは迅速で適切な行動をとることを決定した。プロジェクトとミレニアム・ビレッジ諮問委員会(コミュニティの一機構)はただちにDertuを対象とした地域災害対策委員会を結成し、内陸部の奥深くから8か所の主要な遊牧民干ばつ対策サイトを選定し、災害弱者や脆弱な家畜のために水、薬品、および飼料を提供することを決めた。具体的には以下のような活動が災害対策サイトで実施された:
• 給水:12のサイトを対象に、トラック2台を使って1日平均24,000リットルの水を毎日少なくとも2ないし3の牧畜サイトに提供。宗教指導者や選挙区開発基金(CDF)からも支援を受けた
• 井戸用ディーゼル燃料:計3,200リットルを提供
• 井戸用発電機を使用可能にした
• 国立上下水道公社(NWCPC)およびアリッド・ランズ社(Arid Lands)の支援を受けて新たに井戸を採掘して設置した
• 貯水タンクを調達:6,000リットル7基と3,000リットル2基
• (人に対する)栄養補給:スキム・ミルク、油、ふるいにかけたトウモロコシの粉、簡単な疾病治療
• 重症患者をDertu診療所及びGarissa州病院に紹介
• 家畜用飼料(トウモロコシの皮、サバンナ・アカシア(Acacia tortilis)の 鞘)、家畜用薬品および治療(寄生虫駆除剤、マルチ・ビタミン、抗生物質、抗原虫剤)
教訓:
• 乾燥地および牧草地を利用した領域内のいかなる研究開発活動にも緊急対策キットは不可欠である。気候変動の影響を克服するためにキットに寄与することは国際社会の道義的な責任である
• 国境を越えた集団放牧を承認して権利を付与し、乾燥期の伝統的な越境移住ルートを保全する必要がある
• このような環境下では家畜減らしに対する啓もう活動を行って意識を高めることは非常に重要である
• 干し草をロール状にして貯蔵し、また高価な木や低木を保全することは優先されるべきである
• 人と家畜の疾病の監視、治療、ワクチン接種および地域における早期警戒システムは常に不可欠である
• 給水コストを削減するためには、適切な場所に設置されコミュニティの機関によって運営された恒久的な水源(乾燥期に限定して遊牧民が使えるもの)をさらに数多く支援する必要がある。

翻訳ボランティア:加藤尚子