ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)

極度の貧困は根絶できるはずだ
私たちの孫の時代ではなく、
私たちの世代のうちに
極度の貧困は根絶できるはずだ  私たちの孫の時代ではなく、私たちの世代のうちに

「タンザニア連合共和国における貧しい女性の自立支援プロジェクトについて」勉強会のご報告

DSC00540.JPGミレニアム・プロミス・ジャパン副理事長 岩男壽美子先生(慶応大学名誉教授)を講師にお迎えして、1月26日「タンザニア連合共和国における貧しい女性の自立支援プロジェクトについて」勉強会を開催いたしました。
お話の内容をまとめたレポートを掲載いたします。
【概要】     
1.マイクロクレジットとは。
2.岩男先生の実施するマイクロクレジットとは。
3.タンザニアにおける支援事業の問題点
4. マイクロクレジットの必要性と問題点
質疑応答

1. マイクロクレジットは何か?
マイクロクレジットはバングラデッシュの経済学者ムハメト・ユヌス氏が考案したコンセプトに基づくものである。アジアをはじめ、世界各国ですでに行われており、アフリカのミレニアム・ビレッジでも行なわれているそうだ。種類にはいろんなタイプのものがある。ユヌス氏のものは柔軟な仕組みで、例えば経済的な自立を目指すという制約をつけずに、急病の子供を医者に見せるお金がない場合、そのために必要な極めて小額のお金を、必要な人に貸す。返済に利子はつくが、毎週返済してもらう。このような小規模融資の場合、きちんと返すことが大事である。ユヌス氏が成功を収めた理由のひとつは貧しいアジアの女性の多くが誠実で、まじめだということ、連帯責任という形をとったことではないか。これらの人は誠実であるが故に搾取されている場合も少なくない。
2. 岩男先生の目標としているマイクロクレジットとは。
基本的には多くの小規模融資プロジェクトと類似しているが、経済的な自立を目的としているので、今日子供が急病になったからお金を貸して欲しい、という場合には対象にしていない。
■目的:国連ミレニアム開発目標の達成に向けて、貧しい女性たちの貧困からの脱出と自立を支援することを目標としている。具体的には無担保小額融資(マイクロクレジット)を実施し、貧しい女性たちの収入拡大と働き口の創出を図り、彼女たちと家族が飢えから解放され、こどもたちが教育を受けられるよう、ささやかでも成果の確実な支援をする。
例えばKivaのように、世界的に寄付を募って、非常に大規模で行なっているところもある。方式としては将来的には是非取り入れたいと考えている。
Kiva
例:ある女性が妹と組んで、雑貨屋をやりたいという場合、資金がいくら必要でどのくらいの期間で返済するかなどを決め、自分たちの写真をKivaのサイトにアップする。その際、すでにいくらの金額が集まり、あといくら必要かということを示すソフトを利用し、彼女たちの事業を応援したいという人から小額の寄付(投資)を受け付ける。
そのように募金範囲は世界中に広げて大規模であるが、金額は小規模で、たくさんの人を巻き込む仕組みである。貸したお金の利子は運営するところの運営費となる。そして、投資した人には、満足感という利子がついて貸したお金が全額返済されてくるので、そのお金で次に貸そうとする人を融資希望者のリストから選ぶという仕組みで、今日非常に広まっている。
現在、タンザニアでは66のマイクロクレジットが展開されている。
しかし、これでも援助を必要とする人の2.3%にしか届いてないためニーズはきわめて大きい。
■ プロジェクト展開地域&期間
地域としてはタンザニアArusha市及び周辺の村で、キリマンジャロのふもとの高原である。期間としては、2011年初めまでは主に日本からの資金援助に依存するが、3年目からは現地のNGOによる事業の自立的存続・拡大を目指す。2014年までの5年間に確実な成果をあげてArusha地域での支援を終了する予定。資金を拠出してくださった方には、全額は無理かもしれないが、拠出金額の一部をお返ししたいと願っている。
本プロジェクトで目標としているのは女性の経済的成果である。外務省の無償資金の委員やジェンダーと開発に関する委員会の委員などとして、援助のサイトを見てまわったり、評価をしたりした経験から、開発の成功には女性の力が大きいことを実感した。女性の経済的自立ができれば、次の世代の教育投資につながる。そして、「貧乏人の子沢山」だった日本が辿ったと同じように、子供の数もコントロールされることになるだろう。だから女性に援助をしぼり、雇用の創出と所得確保を目指し、確実に必要としている人に届く支援を心がけている。
■ 地域の特性
低所得層が6割(女性に偏る)、中所得層が3割で、高所得層は1割で高所得者はこのプロジェクトの対象外である。大きな開発援助は結局、政府高官や中間のビジネスマンが搾取し、国内の所得格差を広げ、貧しい人の底上げにはつながっていない。
女性の自立支援をする場合、スワヒリ語が話せて現地で直接活動をするか、現地の信頼できるカウンターパートと一緒にやるのか、のどちらかだと思った。
そして、2007年に政府に登録したNGO、Matumainiを現地カウンターパートとして事業を展開する機会を得た。
MATUMAINI(=スワヒリ語で希望という意味)
(Hope for a Better Future Initiatives in Tanzania)
このNGOの代表はMargareth Tesha(英国国教会所属)。1993年に3人の孤児を助けようと、Arushaで開始した学校、幼稚園と小学校(7年)St. Margarets School の校長でもある。
○支援対象
銀行の融資対象にされない貧しい女性個人またはグループである。これらの人の大半は1日1ドル以下で生活している。
1年に200人の女性とその子どもを対象にし、5年間で女性1000人(+子ども6000人)の支援(貧困からの脱出)が目標である。子供は女性1人につき5~8人いる場合が多いので、平均的に子供も6000人が支援されることになると計算している。
現在181名の女性に融資をしているので、目標は十分達成できると考えている。
タンザニアは大体クリスチャン3分の1、ムスリム3分の1、土着の宗教が3分の1である。
ムスリム文化についてわからないことが多いため本プロジェクトの対象にせず、教会の牧師さんを通じてクリスチャンをターゲットに女性を集めた。発足式(2008年11月29日)には200人の希望者が参加した。すでにマイクロクレジットを借りた経験のある人が何人かいたことは心強かった。
なお、発足式には日本赤十字九州国際看護大学長の喜多悦子先生、官選知事に当たるDistrict Commissionerも出席された。
○ 融資金額
女性一人当たり$100~$300程度を予定。タンザニアにおけるマイクロクレジットの平均額は1案件につき$270である。
 現在、24名に50,000TZS(約4千円)、93名に100,000TZS,64名に150,000TZSを融資している。
○ 支援対象者の選定
現地の審査委員会が審査し、決定している。
審査委員会はMatumaini代表のママ・テッシャとマサイ族の女性のフリーダ・トミト(代表の右腕で、アメリカの大学を卒業し、2人息子のシングルマザー。牧師の娘で教育をあまり重視しないマサイ族としては珍しいキャリアの持ち主)とムラガラという政府役人の3人。
嫉妬心の強い社会でコミュニティを壊さないために、審査の結果、融資を受けられなかった女
性に対し、計画の変更など相談事業を実施する。
○ 融資条件
無担保で保証人は求めない。在京タンザニア大使館の参事官には無担保だったらタンザニア人はお金を返さないと反対されたが、仮に貧困層から椅子1脚を担保にとっても、処理に困り、非現実的と考え担保をつけないことにした。しかし、その代わりに、3人のグループを作って連帯責任を負わせる仕組みにした。
○ 利子
20%。利子は現在のコマーシャルベースで24%であり、世界のほかのマイクロクレジット事業でも高いところでは35%である。これでも現在の資金規模では赤字になる。
○ 返済期間
隔週返済を予定していたが、結局月1回、均等返済とした。
○ 融資期間
原則6ヶ月以内、ケースによっては最長12ヶ月で、また新たに借りたい場合は更新できるようにする。
○ 融資コスト
借りた人の返済が焦げ付く毀損率は3%~5%である。
そのほかのコストとしては、
・ 審査費用
・ 相談事業費:文化を十分理解しないで行なうと、うまくいかない。ジェラシーが強い村文化なので、借りた人の足を引っ張ることにならないよう、事業計画改善のためのコンサルテーションを行なう予定。
・ site visit回収費:訪問を繰り返さないと事業をちゃんとやっているかわからず、お金
・ が返ってこないかもしれない。交通機関のない中で出向いて貸したお金を回収しなければならない、そのための費用。
・ オフィス経費
・ 交通費 
・ インフレ率12%(現在11.6%):インフレになれば返すほうは得になるかもしれないが、ローンコストは高くなる。
○融資事業例:
① 鶏を買い増し、鶏舎を広げ、鶏卵の販売を増やす
② 市場に現在の倍の販売スペース(棚)を借りて、販売する野菜の量と種類を倍増
③ 養蜂箱(各人5箱)を購入し、養蜂訓練代を支払い、オルガニックで高品質の蜂蜜を
生産販売する (Mama Asali Projectとして別のプロジェクトとしてはじめる予定。)
○融資条件
融資による事業展開にあたり、借り手には可能な限り、女性をひとり以上雇うことを求め、その人を優先的に対象とする。
3.タンザニアにおける支援事業の問題点
①長年、支援物資を無償供与されることに慣れているため、自立への意欲が弱く、とりあえず何でも欲しいという援助依存症が濃厚。援助を断っても、けちとは思われない。
②これまでの援助が本当に必要な人には届いていないため、貧困の女性化が進み、国内格差を生んでいる。そのため、真に支援を必要とする人に届く自立支援の実施が必要。
③治安維持の問題
アフリカに限らず治安が維持されていないと、教育も医療もデリバリーができない。
治安警察を呼べば日当をとられ、むしろ問題が複雑になり、機能していない。
交通警察は町にいっぱい存在し、不当に罰金をとり、マイナスの意味で機能している。
④ 政府の機能不全。
役人は給料が非常に安いため、オフィスにはおらず、あちこちで日当を稼がないと生活できない。
⑤ 国民性の問題
穏やかな気質で、気概や積極性にかけている。
よってケニア人、南ア人、インド人などに商売を牛耳られている。サファリもケニアに行ってしまうため、タンザニアの経済発展に十分つながっているようにはみえない。
⑥文化、価値観をめぐる問題
創造力を働かすよりも、模倣文化であるので、新たなアイデアより2匹目、3匹目のどじょうを狙い、共倒れになりことも多い。
4.マイクロクレジットの必要性および問題点
1. 小額融資に対する大きなニーズの存在
農業生産43%(蜂蜜多い)、商業38%、家畜購入6%、その他8%
2. 必要額$500まで 60%。$500から$1500 30%。$1500以上10%
3. 識字率の高さ
4. 信頼できる現地カウンターパートの存在
5. 経験者の存在はメリット(着るものにお金をかける文化であるが、夫の許可なしに自分の服を買える様になった、他のマイクロクレジット機関よりも条件がよい、などのコメント)
6. District Commissioner (Evans Balama)のコミットメントがある
7. District Environmental Officer(蜂蜜の養蜂)のコミットメントがある
8. 適格者への訓練と適格者選定のためのコストがかかる
9. 融資先の状況把握のためのコストがかかる
融資審査の際の詳しいアプリケーションフォームよりも、貸す人が収入を増やすビジネスができ、ちゃんと返済計画が立てられているか、正直かということさえ常識的にわかればいいのでは、と思うが、役人はアルバイト稼ぎもあって、必要以上に詳細なものを用意する傾向がある。
■質疑応答
Q1.マイクロクレジットで貸した金額を回収をするときに要員の費用はかからないのか?
A1.回収は大変な作業。当初案の隔週回収を月1回にしたのは、あまりにも大変だからではないか。電話はないため、ビジネスサイトなど活動の場に出向いて回収することも必要。固定電話はなく、携帯電話が普及している。携帯はプリペイドカードを買い、その分だけ使えるという仕組み。インターネットは基本的にインターネットカフェに行かないと使えない。
Q2.なぜタンザニアを選んだのか?
また、なぜMatumainiを選んだのか?その出会いと経緯は?
A2.タンザニアはほかのアフリカの国と比べて比較的治安がいいし、政情不安がない。かつてはケニアがリーダーでタンザニアが弟分だったが、今はケニアが政情不安になってしまった。
Matumainiとのご縁は、親しくしているアメリカ人夫妻の長男(ミネソタ大学の博士課程の学生)がミネソタ大学の交換留学でタンザニアに留学。そのときホームスティ先がフリーダ・トミトとMatumainiの代表のママ・テッシャの家。ママは彼のスワヒリ語の先生だった。
Q3.Kivaのシステムが理想的だという意見があったが、あえてKivaを支援するのではなく、独自でマイクロクレジットを立ち上げた理由は?
A3. Kivaは非常にいいことをしている。Kivaほどの力あったら、直接資金を集められる。しかし、独自に、つまり直接小規模融資を行なうことで、相手を把握でき、マイクロクレジット援助がどのくらい効果があるのか、融資の前後でどれだけの効果を生むのか、詳細なデータを取ることができる。それにより、マイクロクレジットの有効性についてきちんとデータで検証できる。
Q4. 日本では労働すれば対価がもらえるという考えが自然にあるが、タンザニアでは貨幣についてどういうイメージがあるのか?
A4. 部族によると思う。キリマンジャロあたりの部族は商売に長けているときく。しかし、マサイ族は牛のほうが価値があると考えているから、お金が手に入ったら、やせ細っている牛を買ってしまう。貨幣経済に巻き込まれなくても、十分暮らしていける。マサイ族がマサイ族の医者に診察を受けていた場面に遭遇したがお金は払っていなかった。
Q5.MPJを通じて総額76万円の寄付があったと聞いたが、そのほかにはどのくらい?
A5.その4倍強程度で運営している。資金は2人のサインがない限り、現地の銀行では引き出せないことになっている。現在の規模では融資コストが高くつきすぎるので、早急に資金の積み増しが必要。
Q6.岩男先生もときどき行って回収するのか?
A6.親しくしているデニーというアメリカ人の青年が月1回行く。個人的に6月ごろに行かないといけないかと考えている。
~最後に~
日本人の常識で物事が進むと考えてはいけない。時間感覚も大きく異なり、日本人には非常にルーズにみえるが、決して悪意ではない。
マイクロクレジット事業の発足会のとき、200人の女性たちに向かってDistrict Commissionerが行った演説は素晴らしいもので感動した。彼は、本プロジェクトへの支援を約束してくれた。他にも、喜多先生の親しいご友人で、WHOを今年引退される医者も本プロジェクトに巻き込む予定である。

ミレニアム・プロミス・ジャパン名古屋支部 第一回研究会報告

ミレニアム・プロミス・ジャパン名古屋事務所主催の第一回研究会の報告です。名古屋大学の会場へ30名近くの方々がお集まりくださいました。山田先生から、アフリカに関する全般的なお話をいただき、初心者にわかりやすく解説していただきました。
テーマ: 「アフリカのいまを知ろう」
日時:  平成21年1月24日(土) 午後1時~3時
場所:  名古屋大学大学院 国際開発研究科
講師:  山田肖子氏
       名古屋大学大学院国際開発研究科准教授
山田肖子氏名古屋第一回研究会.jpg名古屋第一回研究会2.jpg
【写真】左から、講師の山田肖子先生、講演する山田先生、会場の様子
メディアで報じられるアフリカ
アフリカ大陸の53カ国のうち、北アフリカを除いた47カ国は貧困などの問題をかかえ、最近のメディアではジンバブエの超インフレ、ケニアの大統領選挙後の内戦(部族対立)、資源をめぐるイスラムと非イスラムの利権の争いであるスーダンのダルフール紛争、エイズなどが報じられている。

紛争と多様性
アフリカは多様な世界で、そのことはアフリカの民族・政治紛争の原因ともなっている。アフリカ分割会議とも言われる1878年のベルリン会議で、ドイツ、フランス、ベルギー、イギリス等のヨーロッパ諸国がアフリカ諸国の国境を決めてしまった結果、言語分布と国境の分布が重ならず、例えばエチオピアには150の民族がいる。
このため、「誰のグループが一番力を持つのか」が重要な問題になり、さらに資源をめぐる争いが民族の争い、政治対立と結びつきやすい。
家族のしくみが国家レベルになってしまう家産制国家では、君主が民族の代表として国の代表になる。民族のために行う政治は、国民全てのために行う政治とは異なる。
税収
税収が少ないことも援助に依存するアフリカ諸国の問題のひとつだが、狩猟採集民は定住しないため、税の徴収や調査の対象とならない。
宗教
宗教も多様で、イスラム教はアラビア半島から海を越え、ラクダに乗ったキャラバンの商人の移動とともに伝わったため、アフリカを横断して伝播した。一方キリスト教は植民地時代の港から海に沿って広まっていった。
日本との関係
日本はアフリカから携帯電話や半導体の原材料となるレアメタルを輸入し、輸入量は少しずつ増えている。またチョコレートのガーナからの輸入など。一方で、輸出では中国やインドにかなわない状況。繊維・加工食品は中国産の方が安いため。
歴史的には、織田信長の時代にアフリカ人が信長に献上され、本能寺で一緒に死んだ側近のひとりであったと言われている。野口英世はガーナで黄熱病研究で亡くなった。また日本人はアパルトヘイト下の南アフリカで名誉白人であった。
日本からアフリカへのODAは増えており、2008年にはTICAD(アフリカ開発会議)を開催し、福田首相が援助倍増を言うなど、日本におけるアフリカの重要性は大きくなっている。
これからの援助
今後日本からアフリカに対して行う援助については、アフリカ社会を知らずに行うことは危険。アフリカは多様な世界で、それぞれに価値観も異なり、貧困の原因も対策も異なることを理解する必要がある。
例えば、一つの作物の収穫量が上がるといった対策を示しても、ひとたび天候の不順が起これば一つの作物では全滅の恐れがあり、生きてゆくためにはいろいろな作物を少しづつ作る方が理にかなっているといった現地の文脈を理解する必要がある。アフリカの人の腑に落ちるモデルなら広がる。アフリカの論理をどこまで取り入れられるかが鍵。
詳しいレポートはこちら↓
第1回名古屋支部研究会レポート.pdf

ODIレポートに関するミレニアム・プロミスからの回答

すでにご紹介しましたように、昨秋イギリスのシンクタンクODIが、ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトに関する調査分析レポートを発表しました。その中で、ミレニアム・プロミス側がいくつかの点で、反論を述べています

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ODIレポートに対するミレニアム・プロミスからの回答
 我々は、ODIチームがミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(以下MVP)を慎重かつ入念に再検討したことに感謝する。ODIチームは、本報告書の調査および準備に、多大な時間を費やし協議を重ねた。我々は、ODIがMVPの「目覚ましい成果」を認識していることに感謝の意を表するとともに、ミレニアム開発目標達成(以下MDGs)には明らかにMVP型の介入が緊急に必要であるとするODIの見解に強く賛同する。また、ミレニアム・ビレッジ(以下MV)が、広範囲な拡大プロセスの一環として実施されるべきであり、また、ドナーは、MVP型プログラムと補完的投資を大規模に拡大するため、責任を持って資金提供すべきであるというODIの意見に賛同する。
 マリやルワンダをはじめとして、MVPを現在受け入れている複数の国々は、MVの手法を国家レベルに拡大する国家政策を提唱している。これらの国家政策は、素晴らしくかつ大胆であり、国際社会に向けて発表されている。これらの政策は、ハイレベル政府の計画と監督の下で、コミュニティレベルの政府の重点活動に、MVP型介入を直接組み入れていると我々は当然ながら認識している。我々は、ODIの提言と十分一致した形で、MVPが政府外の独立したプロジェクトではなく、(まして、一部のNGOの手法にみられるように政府を回避しようとする方法としてではなく)(NGO団体や民間セクターとの連携は必要であるが)政府の国家的取り組みの一環となるべき戦略の一つと考えていることを強調しておく。
 最近、マラウイ大統領は、「全ての村落にミレニアム・ビレッジを」と希望を述べた。ウガンダの多数の国会議員も同様の意見であった。ナイジェリアは、MVを多数の州に設置する取り組みを開始した。また、他のアフリカの数十以上の国々がMVPへの参加を申し出ている。各国政府は自国の財源を投入する用意はあるが、どの国もすべて、ドナーからの多大な支援を必要としている。

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ミレニアム・プロミスのニュースレター

1月28日付 ミレニアム・プロミスからのニュースレターを翻訳しました。

MTVオバマ新大統領特別番組にてケニアのミレニアム・ビレッジを特集
2009年1月20日(火曜日)に放送されたMTVの米国大統領就任特別番組は、ケニアのリハンダ村ミレニアム・ビレッジにおけるミレニアム・プロミスの活動を特集しました。この特別番組(Be the Change: Live from the Inaugural)は、主要な奉仕活動を通じて変革を推進する若者たちや、オミンド小学校にコンピュータールームの設置を支援したミレニアム・ビレッジ在住の一人の学生ボランティアの姿をレポートしています。このコンピュータールームでは、ケニアの若者500人以上が知識の向上に有用なツールを得ることができ、また、同プロジェクトは地域社会全体の情報格差(デジタルディバイド)の解消にも一役買っています。(以下のミレニアム・プロミスのサイトより、映像がご覧いただけます。)

http://www.millenniumpromise.org/site/PageServer?pagename=home

セネガルのミレニアム・ビレッジにおける水供給施の完成については続きをお読みください。

セネガルでJMイーグル社がミレニアム・ビレッジと共同で新たな水供給施設を完成
米国の世界最大のプラスチック管メーカーであるJMイーグル社はミレニアム・ビレッジと共同で、ガーナ、マリ、ルワンダ、セネガル、タンザニア、ウガンダのミレニアム・ビレッジ・クラスターおいて、飲料水の供給施設を建設してきました。これまでに同社は、ミレニアム・ビレッジ内の持続可能な水供給システムの開発に80万ドル以上にのぼる硬質の塩化ビニール管を寄付、供給しています。
2009年1月、同社とミレニアム・ビレッジは、ミレニアム開発目標達成にむけた約束の一環として、セネガル、ポトウにて水道管の敷設プロジェクトを完了させました。現在、同国の北西部に住む1万3000人の住民に安全な飲み水を届けています。この事業の開始前、未整備な水供給施設のため水利用はポトウ地域のコミュニティーの3分の1の住民に限られていました。今回の事業では、65マイル(108キロ)以上に渡り水道管を延長し、63の村を結びつけました。これにより、同地域の人口の99%が飲み水を確保できることになりました。
JMイーグル社の最高経営責任者ウォルター・ワング氏は、「水は健康と世界全体の経済発展にこれまで以上に欠かせないものです。」と述べました。また「残念ながら、水の利用のみならず、水の管理においても世界は危機に直面しています。セネガルで水道施設の建設支援を通じ、我々は今緊急に必要とされているもの満たし、長期的かつ持続的な解決に向けての基礎づくりをしています。最終的な目標は、この地域全体のコミュニティーの健康と経済発展に結びつく基礎的な水道施設を建設することです。」と付け加えました。
また、ワング氏は多くの発展途上国では、水が足りないのではなく、水施設が不足しているのだとも語っています。ワング氏は、「これらの国々には水はあります。しかし水を供給する方法を持っていないのです。これを変えるのが我々の目標です。」と語りました。
コロンビア大学地球研究所長・ミレニアム・プロミス代表・創設者のジェフリー・サックス教授は、水供給に関するJMイーグル社の深い知識と技術により、同社はミレニアム・ビレッジのこの手のプロジェクトにかかせないパーフェクトなパートナーになったと語っています。サックス教授は、「セネガルにおける同社の成功が刺激となって、他の企業が世界の貧困削減の取り組みにさらに積極的に参加するよう願っています。」述べました。
サックス教授はJMイーグル社の提供する水供給設備により作物の灌漑などに使用する農業用水の使用も可能になったことに注目しています。不安定な雨水に依存するのではなく、安定した水供給が受けられることで、農家の人たちは、すべてのコミュニティーが貧困から脱することが可能になる付加価値の高い作物を生産することができます。また、水汲みに時間や体力を消耗させることなく、人々がより生産的になるための能力をもつようになることも重要なことです。
また、サックス教授は、「水は、生命と経済発展に不可欠なものです。この地域の何千もの家族が、初めて安定した水の供給を得ることができるのです。灌漑施設の拡大により農業生産性の大きな増大が見込めます。また、水道管の敷設により、汚水が除去されるでしょう。この汚水は水に関連する多くの疾病の原因であり、地域の多くのコミュニティーが疾病と貧困のサイクルにとらわれている理由の一つです。」と語っています。
セネガル、ポトウで安全な飲料水と基礎的な衛生設備に関するミレニアム開発目標を達成
ミレニアム開発目標の7番目のターゲットは、「環境の持続性を確保」です。これは2015年までに安全な飲み水と基礎的な衛生設備を継続的に利用できない人々の割合を半減することを目標としています。国連は、2008年ミレニアム開発目標レポートで、今日10億近くの人たちが安全な飲み水を利用できなく、また、適切な水供給システムをもたない人たちの3分の1がサハラ以南のアフリカに住んでいると述べています。多くの発展途上国における重要な課題の一つは、水供給に必要なインフラの整備です。農村部のコミュニティーにおいて水供給施設の未整備は特に深刻な問題です。こうした地域では飲み水用の水道管の普及は、全世帯の30%にとどまっています。この問題で最も大きな負担を背負うのは女性たちです。彼女たちは毎日数時間歩いて家族のために水くみに行かなければならないのです。
ミレニアム・プロミスは、ミレニアム開発目標達成の取り組みの一環として、サハラ以南のアフリカの農村部コミュニティーにおける水供給および衛生設備に関する目標を達成するための持続可能な解決方法に投資しています。その例がセネガルにおけるプロジェクトです。ミレニアム・ビレッジ事業、JMイーグル社、セネガル政府の水供給事業機関(PEPAM)が連携し、水道管を利用した設備が開発されました。
このプロジェクトでは、JMイーグル社が寄贈した塩化ビニール管を使用した水道施設が開発され、現在、クラスターに住む1万3000以上の住民がこの設備を利用しています。PEPAMはまた、水道管を増設して、近隣のコミュニティーに住む5000人以上の住人への水の供給を実現しました。この二つの取り組みは、約1万2500人を対象とした既存の水供給施設をベースに拡大したものです。結果的に、全体で3万1000人以上(この地域の人口の99%)の住民がより安全な飲み水を利用できるようになったのです。
PEPAMのカーリー・ディアグネ所長は、「以前は、たとえ水源が汚染されていても、長い道のりを歩いて(水を汲みに行きましたが)、学校、診療所、村において、今はもう、水の利用は困難な作業ではありません。」と語っています。
セネガルでこのプロジェクトが始まったばかりのときには、水供給システムの未整備により、多くの住民は近くの水源を利用することができませんでした。 女性や子供たちは、1日に数時間かけて5キロほど歩き、家族のために安全な飲み水を汲みに行っていました。
クラスター内のメリナ・シモング村の住人コドウ・バさんは、「毎回の水汲みはつらかった。水は一切ありませんでした。村の3つの井戸は乾ききっていました。時には、真夜中に起きて水を汲みに出かけたものですが、それでも実際、水を確保できることはあまりなかったのです。女性たちはひっきりなしに行ったり来たりせねばなりませんでした。」と語っています。
新設された水供給設備は、家族が水の確保にかける時間を大きく短縮し、生産的な社会的に有用な活動により時間を割くことを可能にしました。
レノア村の住人コウディア・ディアウさんは、「またこれは、女性にプラスの経済効果もたらします。彼女たちは、井戸で1日を過ごすのではなく、私同様、所得を生み出す活動により時間をかけるでしょう。」と語ります。
ミレニアム開発目標達成に向けた我々のミッションの中で、このセネガルの水道設備事業は、飲み水の確保の目標達成に向けた努力をいかに我々が支援していくかを示す数々の例の一つです。同事業により、セネガルのミレニアム・ビレッジは、飲み水の確保という目標を上回り、この地域にすむ多くの住民が人間の最も基本的なニーズへのアクセスを得ることを実現するでしょう。

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