ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)

極度の貧困は根絶できるはずだ
私たちの孫の時代ではなく、
私たちの世代のうちに
極度の貧困は根絶できるはずだ  私たちの孫の時代ではなく、私たちの世代のうちに

Blog-Archives

ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト活動のハイライト

ミレニアム・プロミスよりミレニアム・ビレッジ・プロジェクトの業績について、主要分野に関する報告が届きました。
Highlights from the Millennium Villages Project (MVP)
ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトの業績

Malawi.jpgMalawi2.jpgプレゼンテーション1.jpg


農業
 全プロジェクト対象地域にて、食糧生産が、平均で2倍以上増加。これは2006年以来、2回以上の作付け期において、74,000戸以上のミレニアム・ビレッジ(以下、MV)の農家に対し、農薬や改良種子の支給を行った結果である。
 ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(以下、MVP)の農業分野での成功は、特にマラウィにおいて顕著である。ムワンダマのMVではトウモロコシの収穫が350%増加、1ヘクタール当たりの収穫はMVP導入以前の0.8トンから2006/2007年には3.6トンに増えた。さらにMVPの主導者らは国家農業支援プログラムの実施にあたって、マラウィ政府と緊密に連携し、その支援により同国のとうもろこしの生産は2005年から倍以上に増加した。
教育
 初等教育へのアクセスを確保するため、MVPはビレッジ内の教室を大幅に改善した。プロジェクト開始以来、100以上の教室が建設され、120近くが改築された。
 MVPと世界食糧計画(以下、WFP)を含む地域パートナーは、全サイトに渡って学校給食プログラムを強化し、その結果70,000以上の子供達が現地で生産された食糧を使った食事の提供を受けている。例えばエチオペアのコラロでは、プロジェクト開始時にWFPが4つの学校給食プログラムを立ち上げて以来、さらに20以上のプログラムを追加し、現在全ての就学児童に給食が提供されている。
 学校の建設と改築、給食および教師研修に対する包括的な介入により、ビレッジの就学率および授業への出席率が改善された。例えばセネガルのポトウでは、このような介入により、クラスターの就学児童の数が2007年の1,286人から2008年には4,164人に増加した。
 初のMVスクール2スクール計画が2008年5月に開始され、インターネット技術を使ってウガンダのルヒイラ・クラスターと米国コネチカット州グリーンウィッチの子供達を繋いだ共同授業がライブで行えるようになった。

医療
MVPは特にマラリアの予防対策に力を注いでいる。プロジェクトの開始以来、住友化学から寄贈された蚊帳(オリセット)が34万以上配布された。加えてマラリアの一次治療の国際標準であるアルテミシニン薬と他の抗マラリア薬を併用する(ACT)治療のための薬剤を、80のMVに備蓄している。
 全MV地域に渡る800以上のコミュニティ・ヘルス・ワーカーが、様々な基本的な医療サービスを提供する為の訓練を受けた。
 14件の病院、診療所およびヘルスセンターが新たに建設、35件が改築され、医療へのアクセスは大幅に改善された。
 MVPは妊婦の健康状態の改善にも力を入れている。例えばプロジェクトの開始以来、ウガンダのルヒイラでは訓練を受けた人材の監督下での出産が全出産の9%から51%に増えた。さらにルヒイラの妊婦の80%が、妊娠中少なくとも1度は医療施設で妊婦管理サービスを受けている。
 家族計画サービスへのアクセスも増加した。例えばガーナのボンサアソでは、近代的な家族計画を実施している住民の数が670%増え、2007年半ばの296人から2008年半ばには2,278人に達した。
インフラ
MVPはエリクソン社と連携して、携帯電話経由でインターネットへのブロードバンド接続を可能にする次世代携帯電話技術であるEDGE/3Gを用いて、全てのMVにインターネット接続を提供した。2008年5月には、エリクソンとその現地パートナーのプロバイダー会社であるザイン社が、ケニアのダーツで携帯電話を使ったネットワーク・サービスを開始。携帯電話基地局が寄付により設置され、安定した携帯電話による通話及びインターネット接続が初めて住民達に提供されるようになった。
 地方政府との協働により、MVPは輸送および電力サービスを大幅に改善した。例えばナイジェリアのパムパイダ政府はMVPと連携して、10kmの道路を建設してクラスターと近隣の地域中心地区のサウワラを結び、さらに小学校や市場に近いクラスターの中心地点に電力を供給した。加えて中央政府と連携して、国営の送配電伝網をエチオピアのコラロ・クラスターのほぼ全域にわたって拡張した。
 MVPはビレッジに住む人々により安全な飲料水を提供するための活動も行っている。例えばセネガル政府のために水事業を取りまとめているJMイーグル及びPEPAMと協力してポトウで水プロジェクトを立ち上げ、約1万3,000人により安全な飲料水を供給した。
MVPの拡大
 MVの成功に触発され、マリ政府は、国家的な拡大戦略を発表し、同国で最も食糧供給が不安定な166の地域に住む200万人に対し、MVの中核概念を広げることを明らかにした。
現在進行中のマヤンゲでのMVPの成功を受け、ルワンダ政府は「ビジョン2020ウムレンゲ」の一環として、MVPを全国30地域に拡大する計画を発表した。
 2008年5月、日本国政府は、ベナン、カメルーン、マダガスカルおよびモザンビークにおけるMVクラスターの立ち上げ支援を発表した。ノルウェイ政府も現在リベリアのMVを支援中である。

「人間の安全保障」セミナー ミレニアムビレッジ体験談

Ben-s.jpg去る11月5日に東京大学駒場キャンパスで開催された「人間の安全保障セミナー」(テーマ:ミレニアム・ビレッジ)の講演内容を翻訳しました。なお、ジェフリー・サックス教授、ジョン・マッカーサー氏(ミレニアム・プロミスCEO)のビデオ講演内容は、すでに当ホームページ上に掲載済みです。ご関心のある方はご確認ください。
ベンジャミン・ボドナー氏 講演内容 
平成20年11月5日(水)
人間の安全保障セミナー テーマ:ミレニアム・ビレッジ
東京大学駒場キャンパスにて
演題: 現場からの視点(View from the Ground )
 本日皆様にお話し申し上げる機会を与えられました事は、私にとりまして、誠に名誉なことでございます。東京大学、遠藤貢教授、ミレニアム・プロミス・ジャパン、及び 鈴木りえこ理事長に厚く御礼申し上げます。
 私は、今、お話しされた専門家らとは異なる視点からお話をしたいと思います。 まだ、学生でありますので、もちろん専門家ではありませんが、幸運なことに、ミレニアム・ビレッジで一年を過ごし、現場で経験を培うことができました。
 ですから、私は、政策について論じるのではなく、人間の安全保障や国際開発に興味を持つ学生たちへのメッセージとして話をしたいと思います。
 私の究極のメッセージは、まず、「アフリカを訪れよう。」というものです。実際に現場で働くことです。面倒なことの一つは、そのための準備でありますが、ひとたび現地にいけば、とても歓迎され、活動に深く係ることが可能です。現地から遠い場所で情報を得るのと比べ、現地で貴重な経験をする事は、色々な点で重要です。 その一つは、米国や日本の豊かな環境からは、入手不可能な情報が得られることです。そういったことは、途上国に実際に行かなければ分かりません。

 開発国での経験から学んだことの一つは、途上国に対して、先進国にいる我々が、先入観を抱いているということです。途上国の人たちは、文化が違うから、我々とは、別の考え方をすると思いがちです。しかし、実際感じたのは、まったくその逆です。彼らも同じ価値観を持ち、同じような考え方をするのです。ただ、我々先進国に住む人間は、幸運なことに多くのことを当たり前としてとらえています。ですから、問題解決にあたって、当たり前と思っていたことがいかに思い込みであったか気づいていません。しかし、ひとたび、途上国に足を踏み入れれば、当たり前だと思っていたもののうち、何が実際そうでなかったかが分かり、現実の状況を正しく理解できるでしょう。そうした先入観がなくなれば、我々同様、平均的なアフリカ村民は、(タンザニアの村人を例にあげれば、)問題解決において、同じ結論に至るでしょう。
 現地での経験がなぜ必要であるかというもう一つの理由としては、開発プロジェクトが各場所に適した、独自の詳細な対策を必要としていることです。サブサハラ以南のアフリカ地域や開発地域には、数え切れないほどの細かな違いがあります。たとえ、違いが書かれているリストを目の前にしても、実際にそこで生活して、現地の視点で捉えなければ 一体どの違いが、日々の生活に影響を与えるのか、また、開発プロジェクトの介入を計画する場合に、どの違いを考慮するのが重要なのかを理解するのは不可能です。
 具体的に説明します。まず、これは、サブサハラ以南のアフリカ地域におけるミレニアム・ビレッジの地図です。
MV-map.jpg 
農業地域とその基本作物が色別に示してあります。ガーナでは、カカオ豆が、タンザニアではトウモロコシが生産されています。この2つの地域で、私は活動をいたしました。こうした情報は、とても重要ではあり、遠くにいても入手できます。しかし全ての状況を伝えるものではありません。以下は、ガーナ全体の地図です。
ashanti.jpg
bonsaaso.jpg
もっと、詳しく見ます。これは、ボンサソ・クラスターの地図です。緑色の部分がクラスターです。比較的人口が多いことが分かるでしょう。
 
道路設備、医療施設の場所や、計画予定の医療施設の場所が示してあります。しかし、この地図では見えないことがあります。現地の医療施設があるケニアゴという村と、隣村のジジテレッソの間には、 低地の道が長く続いているのです。
写真-川.jpgですから、ガーナの雨季、(この写真は、実際、2007年秋の終わりごろですが、)道は、このようになってしまいます。距離でいうと2キロに渡って、完全に浸水してしまい、トラックでの往来は不可能です。他のクラスターから、その村の大部分が孤立してしまいました。これは、商用で、村人が大きな町に移動しようとしているところです。水の中を歩いたり、深みでは、泳いだりしています。ここで、道路が遮断されてしまったために、クラスターの住人の3分の1にあたる約1万人が ケニアゴにある一つの医療施設とアグロサムにある地域の中央医療施設に行くのが困難になりました。ここにたどり着くためには、地図にはない小さな道を通るか、または、迂回せねばなりません。このことは、村人だけでなく、クラスターヘ物資を支給する上で、プロジェクトにとっても問題であること示しています。状況を把握している現地スタッフがいなければ、適切な準備をすることが出来ないのです。
写真2-山並.jpg 更に、その現場ならではの経験から学んだことがいくつかあります。これは、ガーナで、午前6:30頃、森を抜けて、ジョギングしていたときに、丘の上から撮影したものです。
写真3-平地.jpgこちらは、タンザニアのクラスターの近く、同じく丘の上から、午後撮影したものです。
さて、現地での経験を培うことがいかに重要かということに関しですが、ここでみなさんに、質問します。どちらの地域で、マラリア対策の蚊帳がより早く使用され始めるでしょうか? 私が、ヒントを差し上げなければ、地図やこちらの写真を見ても答えはわからないでしょう。しかし、この写真から判るように、タンザニアの多くの地域は、比較的、乾いた気候で、標高1000メートルの高地に位置し、夜間は涼しく、快適です。一方のガーナは、湿度が高く、熱帯雨林の気候です。現地にいってすぐにわかりましたが、夜間は、扇風機がなければ、不快で寝苦しいのです。村人たちには、扇風機がないだけでなく、一つのベッドを3-4人が共有します。よって、蚊帳を配布するためにこの2つの地域に、同じ説明をしても、夜間の温度が高いガーナでは、涼しいタンザニアに比べて、蚊帳が使用されにくいのです。しかし、村人たちが、経験を積み、いかに蚊帳が疾病対策に役立つかをひとたび理解すれば、すぐに、蚊帳の使用を開始します。蚊帳を使うことで、より暑くなり、不快であっても、積極的に使用します。実際現地に入ってみないと、こうした違いは分かりません。
 もう一つは、地域ヘルスワーカー役割です。基礎的な医療介入において、地域の村人(ヘルスワーカー)を訓練するプログラムです。地域の医療施設に行かなくても、村人たちが基礎的な医療が受けられるようするためです。
 地域ヘルスワーカーが係わったプロジェクトの多くは、東アフリカで行われましたが、彼らは、自転車を供与され、またそれが彼らにとってもインセンティブとなり、自転車に乗るヘルスワーカーの姿は、彼らを象徴的するものでした。タンザニアから、西アフリカのガーナといった地域へ、地域ヘルスワーカーによるプロジェクトを拡大する際にも同様に、自転車をインセンティブとして供与しようと考えるかもしれません。しかし、写真でお分かりのように、ガーナは、熱帯雨林地域で起伏に富んだ土地であるため、自転車の使用は適しません。平坦で低地の多い地理的条件をもつ東アフリカようには、自転車は普及しないのです。
 この写真は、ガーナの奥深い森林の中にある携帯電話塔です。受信範囲は、広くありませんが、ガーナのこのような奥深い森林でも、携帯電話塔はあります。
写真4-Ben鉄塔.jpgこれは私がその電話塔に登っているところです。 先入観により、このような先端技術が存在すると思っていなかったのですが、このような人里離れた場所でも、現実は違うのだということが、この電話塔に登って、はじめてわかりました。
 それでは次に、私のボランティア活動の内容についてご説明したいと思います。基本的に、私は、医療コーディネーターの助手を務めました。
ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトは、画像5-8Goals.jpgこのリストに示してある、ミレニアム開発目標の達成にむけて支援するものであり、医療コーディネーターは医療分野に関わる目標を達成することです。具体的には、4.乳幼児死亡率の削減、5.妊産婦の健康改善、6.HIV/エイズ、マラリアや結核などその他の感染病の蔓延防止です。
 プロジェクトを進める上で非常に大事なこと、そして 学生ボランティアとして 特に医療分野のプロジェクトに係る中ですぐに学んだことは、これらの3つの目標達成は、ほかの目標達成とは切り離せないものだということです。1の極度の貧困と飢餓の撲滅は、主に農業に関係した取り組みであり、作物の生産拡大の領域ですが、同時に栄養面での取り組みも必要です。そして作物の多様化や適切な栄養についての助言をもらう医療専門家が必要です。2の普遍的初等教育の達成については、子供たちが健康でなければ、学校へ行くこともできないのは明らかです。3のジェンダーの平等の推進と女性の地位向上については、妊娠、出産における問題があるため、女性は特に大きな疾病負担を強いられています。ですから、こうした医療における問題の改善をみなければ、どの開発目標も達成することは出来ません。逆に言えば、医療以外の分野における開発目標達成を目指す人たちは、自らの目標達成には自分達も医療分野に関わる目標達成を助ける必要があると感じるでしょう。
 私の仕事についてもう少し具体的に申し上げますと、わたしは、患者を診る臨床医となるべく教育を受けておりますが、村においては、臨床の仕事ではなく、公衆衛生や物資の供給及び組織化の仕事に関わっておりました。
6写真-物資.jpg  物資の供給における仕事では、(写真にあるような)抗マラリア薬、抗生物質、コンドーム(箱の中)といった生命にかかわる医薬品を、地域の販売店から(この場合は、ガーナにある、クラスターから、地方都市クマシから悪路を、数時間かけて)、このクラスター内に届けていました。   
 この写真は、村の教会の中ですが、母親と子供たちに2人のヘルスワーカーが出張医療活動を行っています。7写真-Meeting.jpg
8写真-Meeting.jpg また、私の仕事には、スタッフの管理も含まれていました。医療分野の目標達成にむけて、多くのスタッフが多くの仕事をもっています。問題は、いかにしてこのような人たちをまとめていくかです。ヘルスワーカーや農業スタッフが、数百平方キロメートル以上 の場所に、多くの場合、携帯電話なしで、点在しております。スタッフの管理や物資を供給方法、データの集計方法、スタッフと地域への教育の方法、メッセージを地域に伝達する方法、外部からの情報を入手する方法などを考えていかねばなりません。
この写真は、私が2007年12月にガーナのクラスターを去る前に、医療スタッフ全員の姿を撮ったものです。
皆が揃うのも一年に一度ほどの中で、こうした数の人たちを組織化するのは困難であることがお分かりでしょう。
 私が係わったもう一つの分野は、携帯電話を使用した医療活動です。最も人里離れた遠隔地においても、また、基本的物資が普及していない場合でも、携帯電話のような先端機器は使われています。地域で、教育を普及させ、情報や医療技術を伝達し、治療を行うために、携帯電話やパーム・パイロット(米国製小型情報端末)を活用して、今後多くのプロジェクトがすすめられねばなりません。
9写真-Meeting.jpg  これは、タンザニアでの写真ですが、中央には、ボランティアが写っています。
我々は、彼にわきにちょっと来てもらって、パーム・パイロット・プログラムの使用方法を教えています。小型の情報端末を使用して、下痢やマラリア防止といった基本的な疾病の防止ために、基本的な医療教育や説明をおこなうプログラムです。そして、彼に、他の村の友達にこのプログラムを紹介してもらうよう頼んでいます。彼は直ちに興味を持ち、 これを村に持って帰りたいと言いました。
 以上のことは、私が行った活動ですが、かならずしも途上国で仕事をおこなうことの全体像を伝えるものではありません。私は、医学生ですので、医療業界の人たちには、医学的な内容にたとえて、その活動を説明します。「途上国で仕事をすることは、神経外科のようなものでなく、停電下で、頭痛薬を処方することだ。」と言います。必ずしも、難解な物理学のなぞを解明するようなことではなく、 実証済みで、有益かつ重要な介入を行うものである。自分以外の誰もが踏み入れるこのできなかった場所で自らが介入を行い、地域の人たちにとって、基本的なこと行なうために必要な資源を提供することだと説明します。
 つまり、途上国での日々の活動というのは、必ずしも、英雄的なものでも、アフリカのジャングルの奥地に行くような映画のシーンのようなものでもありません。私は村で活動してはいましたが、多くの時間を事務所で過ごしました。私の任務は、データ入力や、エクセルを使った表や教育関連の書類作成が主でした。途上国へ行く準備をする上で、このことを心に留めておくこが重要です。想像しているようなすごく魅力的な仕事にならない場合が多いのです。
 最後に、途上国でボランティア活動を行う上で、わずかばかりの助言をさせていただきたいと思います。これは、ミレニアム・ビレッジのみならず、他の状況にも当てはまります。まず一つは、もしあなたが、興味をもっているなら、また、 少しでもやる気があるなら、やってみることです。最大の困難は、今の満ち足りた生活を抜けだし、途上国で仕事をするということだと思います。しかし、ひとたび足を踏み入れれば、素晴らしい経験となるでしょう。
 また、もう一つ理解してほしい重要なことがあります。特に、米国のような先進国においては、開発の仕事をキャリアとして選ぶということは、 一般的には、弁護士や、(今や銀行家というのは当てはまらないかも知れませんが(笑)、または、実業家といった高収入が得られるキャリアを諦めることになります。収入が減っても開発に携わるというのは、特別な人たちの選ぶ道なのです。
 途上国によって、状況は異なりますが、ボランティア活動や開発グループから得られる収入というのは、途上国においては、非常に高額になる可能性があります。私は、開発に関わっている途上国の人たちが、貧困から地域の人を救いだすことに対して全力投球しているわけではないとか、興味をもって取り組んでいるのではないと述べているのではありません。 しかし、一部の人たちは、仕事として、高収入が得られるから、開発の仕事に関わっているのです。
 私は、これを「開発観光業」と名付けています。グーグルで「アフリカ」「ボランティア」をキーに検索すると、ボランティア活動の機会を紹介する無数の団体のサイトがみつかります。しかし、基本的に、すべての団体は、「授業料」もしくは「料金」を要求します。そして、その額は、たいてい、とても高いものです。そしてボランティア活動を一まとめにビジネスに近い形で提供し、ボランティア達を途上国に連れて来ることによってお金をもうけているような団体も時にはあります。こうした状況がすべてではありませんが、ボランティアの機会を求める場合、注意すべきことです。そしてこのような状況が、海外ボランティアたちと現地でプログラムを実施する側との間で、お互いの期待に食い違いを生むこともあります。 
 最後にまとめさせてもらいます。医学の世界での教訓ですが、ラテン語で “ Primum non nocere”、「肝心なのは、害をなさぬこと。」という言葉があります。誰も傷つけないことが一番大切だという意味です。途上国で仕事をする場合は、これを2つの意味で、心に留めておくとよいでしょう。 (心に留めるべき)一つ目の点は、途上国では、しばしば「持続性」ということが取り上げられますが、まるで元から存在しなかったかのように、自分や自分が持ち込んだ資源が開発地域を去ってしまえば、そこに行って活動しても、その地域のためにはならないということです。 ボランティアとして仕事をする場合、自分が必ずしも、持続性のある資源ではないことを覚えておかねばなりません。仕事はするが、いずれ仕事を引き継ぐ人がいないのであれば、自分がどこまでやるのか考える必要があります
 2つ目の点ですが、 ボランティアが害をなすケースがあるということです。途上国へ行くと、私たちの多くは、素晴らしい歓待を受けます。現地の人は、親しみやすく、優しく応対してくれます。ボランティアとして仕事をする場合も同様です。ボランティア団体の一員として現地に行くと、受け入れ側の担当者は、ボランティアが快適に過ごしているかとても気遣います。自分たちの仕事の時間さえ使って、一緒に過ごし、快適かどうか確かめようとします。大事なことは、できる限り、人に頼らないことです。助けが必要なことももちろんあるでしょうが、みなさんの個人的な必要性を満たすために、彼らの仕事時間をつかうようなことは避けるべきです。
 最後に一言。現実的な期待を抱くことが重要です。「地球を救いたい。」と思うのは、結構なことです。わたくしもそう思います。しかし、数か月アフリカで過ごしたからといって、地球が救えると考えるのは理にかなっていません。
 開発問題の解決は非常に複雑で、困難です。活動の経験の中には、自分が思い描いていた目標達成につながらない可能性のあるも必然的に含まれます。活動の上で、抵抗にあうこともありますし、時には、いらいらすることもあるでしょう。現地へ行くのをやめる必要はありませんが、こうしたことを頭に入れておくことです。現実的な期待がないと、いらいらして、あきらめたくなります。現実的な期待を持つことが重要です。
 重ねて申し上げますが、行きたいと望むなら、ぜひ、行くべきです。とても素晴らしい経験です。ご静聴ありがとうございました。

9月26日開催のミレニアム・プロミス・パートナー大会

ミレニアム・プロミスより送られました第一回ミレニアム・プロミス・パートナー大会の要約を掲載します。
DSC00338.JPGDSC00347.JPGDSC00343.JPG
写真は左から、ミレニアム・プロミス共同創設者で現・国連事務総長マラリア特使のレイモンド・チェンバー氏、中央写真がミレニアム・プロミス共同創設者&国連事務総長特別顧問ジェフリー・サックス教授(左)、ジョンマッカーサーミレニアム・プロミスCEO(右)、右の写真は会場のもよう。
2008年9月26日、ニューヨークのタイム・ワーナー・センターにて、第一回ミレニアム・プロミス・パートナーズ会議が開催されました。ビジネス、科学、政府、慈善、メディア、芸術、テクノロジー、宗教関連など、あらゆる分野から200を超えるパートナー及びゲストが参加しました。当大会は、3年前にミレニアム・プロミスによる呼びかけによって始まったビジョンであるミレニアム開発目標(MDGs)達成にむけての貢献と、アフリカ・サハラ以南地域における極端な貧困撲滅への目覚ましい前進を祝うために行われました。
1日におよぶ会議で、パートナー及びゲストの方々が、これまでの成果や新たな取り組みを報告し、今後の戦略ビジョンを紹介するというミレニアム・プロミスにとって大変意義ある大会となりました。
また、マラウイ共和国ビング・ワ・ムタリカ大統領よる感動的な基調講演が行われ、アフリカ現地からの最新報告や、ミレニアム・プロミスとのパートナーシップを通じた革新的で行動力のある関係者らのスピーチが行われました。 本大会は、次期戦略段階への熱意あふれる決意表明で幕を閉じました。また、ミレニアム開発目標達成へ向けてより結束を強固なものにするために、多くのゲストが、このパートナーシップに参加することを通じて、様々な人たちとの対話を進めるきっかけとなりました。

成果およびビジョン
CEOによる最新報告
初めに、ミレニアム・プロミスのジョン・W・マッカーサーCEOがパートナーの方々へ心からの感謝の意を述べた。マッカーサー氏は、ミレニアム・ビレッジおよび「マラリア・ノー・モア」(2006年12月にマラリア対策の取り組みを喚起するためにミレニアム・プロミスが設立した組織)の計画と政策実現における成功について説明。「パートナーの皆様は、三年前、我々の考えにご賛同、リスクを承知で協力してくださった。」とマッカーサー氏は発言。「そのリスクが報われました。皆様のご尽力により実現した進歩や功績を、ぜひとも誇りに思っていただきたい。」と加えた。
次に、マッカーサーCEOは、ミレニアム・プロミスとパートナーにとって重要な次期目標を以下のとおり強調した。
第一に、当組織が、ミレニアム・ビレッジの成功をより広い地域へ拡大し、各国の取り組みを支援する。
第二に、ミレニアム・プロミスは、ミレニアム開発目標達成に貢献する革新的な方法を見出すために、引き続き新たなアイデアを育み、ミレニアム・ビレッジ及び周辺地域で新規活動を開始する。
第三に、ミレニアム・プロミスはミレニアム開発目標達成にむけての社会認識を広げ支援拡大において今後もリーダーシップを発揮する。
第四に、ミレニアム・プロミスは、引き続き世界各国で主要パートナーのネットワーク拡大に努めること。
共同創設者による発言
ミレニアム開発目標について
ミレニアム・プロミスの共同創設者でありミレニアム開発目標に関する国際連合事務総長特別顧問であるジェフリー・D.サックス教授は、同じ週に開催された国連総会で、世界経済が非常事態にある中、各国によりミレニアム開発目標について真剣な討議が4日間に渡って行われたことを報告した。各国はミレニアム開発目標達成への決意を新たにし、進捗を速めるための実際的な手法を検討した。サックス教授は、ミレニアム・プロミスは持続可能な開発における課題解決のために実行できることに取り組んでいると説明。また、科学的検証に基づいた実現可能な取り組みを進め、その進捗を図るために必要な監視と評価を行っていると説明した。また、サックス教授は、ミレニアム・ビレッジは、実証された手法で特定分野に狙いを定めて投資を行うことで、地域村落は極度の貧困から脱却が可能であることを実証するためにスタートしたと付け加えた。ミレニアム・ビレッジで早期に示された成果は、新たなコンセンサスを生み出したと強調。サックス教授は、「極度な貧困撲滅のために講じたミレニアム・プロミスの手法は、コンセンサスを得て、ミレニアム開発目標達成に向けての最良の概念かつ戦略であると考えられてきている」と述べた。この手法が世界の取り組みの中心である。一日の会議を通じ、サックス教授は、ミレニアム開発目標を支える協力関係の重要性を強調し、個人及び各団体から協力を得て、とりわけ民間セクターによる支援を拡大し、民間資本と専門知識を極度な貧困撲滅への解決のために活用するミレニアム・プロミスの活動は極めて重要であると述べた。
マラリア対策について
ミレニアム・プロミス共同創設者であり国際連合事務総長マラリア特使のレイ・チャンバース氏は、マラリア対策において2008年9月に達成された顕著な功績を発表。「マラリア・ノー・モア」は、マラリア対策において、政府、非営利組織、民間セクターなどの主要機関の連携を促すために、2年前にミレニアム・プロミスにより設立されたことを説明。「マラリア・ノー・モア」は、ピーター・チャーニン現会長及び主要パートナー機関の協力で、大規模のマラリア対策運動の開始を支援した。この運動は、大会前日(9月25日)に、大きな成果として、まとめられた。ミレニアム開発目標についての国連ハイレベル会合の昼食会にて、ビル・ゲイツ氏、ボノ氏、ゴードン・ブラウン氏、世界銀行及び15ヶ国の国家元首が一同に会し、マラリア対策のため新たに30億米ドルが投じられることを発表した。この財源は、2010年までに全ての対象地域に長期持続性殺虫剤処理済みの蚊帳を配布し、2012年までにアフリカにおけるマラリア感染死亡を撲滅するために使用される。
ミレニアム・ビレッジ事業
マラウイ共和国より現地報告
レビー・ハラワ博士は、開始当時より、科学コーディネータ兼チームリーダーとしてマラウイ共和国のミレニアム・ビレッジ・チームを率いている。ハラワ博士はこの事業が地域村落にもたらした目覚しい影響を現地で直に確認しており、事業の成果を発表した。とりわけ、小規模農業従事者の支援では、種子の改良、施肥、新しい農業技術の研修実施により、収穫量が倍増以上となったことを報告。結果として食料の一層安全な確保につながり、余剰穀物は地域事業に回転資金を融資する地域の穀物バンクで保管されている。多様な穀物が栽培されるようになったことで、地域住民の栄養バランスが向上し、新たな収入源となった。ハラワ博士は、世界食料計画と地域村落の協力によりミレニアム・ビレッジで実施された学校給食事業が児童の食糧確保に貢献し、小学校の就学率が向上していることを報告した。
オープン・ソサイエティ・インスティチュート(OSI)
オープン・ソサエティ・インスティチュート(OSI)はミレニアム・ビレッジ事業に対し、5年間で5千万米ドルを寄付。OSI兼ソロス人道基金社長のアリエフ・ネイヤー氏は、OSIは第三者機関である海外開発インスティチュート(ODI)に中間評価を委託した。ODIは数週間内にも公表予定である報告書の中で、複数あるミレニアム・ビレッジは、地域村落で見事な成果をあげたとしている。ODIは、これらの成果は、ミレニアム・ビレッジの手法を次なる段階へ拡大するための追加支援を保証するものであると示唆。さらに、ネイヤー氏は、そのためにはアフリカ各国政府による固い決意と積極的なリーダーシップ、さらに国際支援の拡大が不可欠であると、強調した。また、ミレニアム・ビレッジへの支援は、OSIにとって有益な投資であったこと、また関係国政府がミレニアム・ビレッジの手法を国家レベルで施行するために、どういった支援が可能であるか検討中であることを述べ発言を終えた。
基調講演
マラウイ共和国ムタリカ大統領は、基調講演でミレニアム・プロミスの活動を大きく評価した。自立した経済成長を達成するために国民が必要とする物資と資源の供給があれば、マラウイは極度な貧困からの脱却が可能であることを説明。持続可能な農業、医療、教育、水資源の管理、インフラの整備、村落開発を包括する、統合的プログラムがミレニアム・ビレッジ事業の特徴であるが、マラウイでは、当事業が著しい持続可能な成果をあげていると述べ、その進展を賞賛した。「ミレニアム・ビレッジに投資する1ドルは、他地域に投資する10ドルと等しい価値がある。」と発言。そして「ミレニアム・ビレッジ事業の支援により、極度の貧しい生活を送る人々が次々と貧困の罠から脱却し自立している。」とつけ加えた。ムタリカ大統領は終わりに、マラウイの村落全てをミレニアム・ビレッジにしたいという希望を述べた。
パートナーらの活動と決意表明
パートナー間の議論と発表では、ミレニアム・プロミスのジェフリー・ウォーカー理事長が進行役を務めた。ウォーカー理事長は、パートナー同士の連携がミレニアム・プロミスの成功の礎となることを強調し、支援活動にさらに積極的に関与し、またサハラ以南地域の貧困撲滅支援というミレニアム・プロミスの使命に貢献するための様々な方法について、パートナーらに対し創意工夫を求めた。以後2時間の間、パートナーは各々の決意を分かち合い、今後の新規活動を発表するなど、ミレニアム・プロミスの次期段階における取り組みの基礎を固めた。パートナーによる報告及び発表は以下の通りである。
カール-ヘンリク・スバンバーグ氏(エリクソン 最高経営責任者)
スバンバーグ氏は、地元プロバイダーのザイン社などと連携して、全てのミレニアム・ビレッジに携帯電話、情報網、インターネット接続を普及し、情報格差の解消を目指すというエリクソンの支援概要を説明した。同社のケニアのデルトゥ村での協同体制を取り上げたCNNインターナショナルのVTRを紹介。スバンバーグ氏は、携帯電話には変革をもたらす潜在的可能性があると指摘し、個人を孤立状態から救い、新たなビジネスチャンスを創造することができると述べた。また、エリクソンでは、村落の医療従事者(Community Health Workers)の一助となる診断機能などを持つ、特別なアプリケーションを携帯電話に組み込むため、ミレニアム・ビレッジと連携して開発を進めていると説明した。
ジョー・グリーン氏 (フェイスブック・コーズィズ 社長)
フェイスブックの利用者は1億人を超えており、フェイスブック・コーズィズを利用して慈善活動に関わる人は1400万人に上っている。同社サイトには数千の社会貢献事業があり、サイトユーザーならば誰でも新規活動を始めることができると、グリーン氏は説明。同社はグッド・マガジン社と連携し、ミレニアム・ビレッジ事業の主要活動を表示したミレニアム・ビレッジの仮想モデルを作成し、ミレニアム・ビレッジ専用の特別アプリケーションを開始すると発表。サイトユーザーは、個人的にこれらの事業に献金したり、また、友人や他のユーザーと共同で、活動支援することが可能になる。ユーザーは、フェースブック上で、自分の寄付がどのように地域支援に役立っているかを逐次確かめることができるようになる。フェイスブック・コーズィズ社では、年内にもミレニアム・ビレッジ専用の新アプリケーションを起動させたい意向である。
ジョン・タイソン 氏(タイソン・フーズ 会長)
タイソン氏は、タイソン・フーズは世界から飢餓なくすため、真剣に取り組んでいると説明。同社はミレニアム・プロミスと協力し、近代的な養鶏事業育成のための研修及び資源をサハラ以南地域のミレニアム・ビレッジの村落に投入する予定である。この取り組みにより、地域住民は新たなビジネスチャンスを活かして収入を増やすことができ、タンパク質摂取量の増加による住民の栄養バランスの向上も期待される。
小暮真久氏(テーブル・フォー・ツー・インターナショナル事務局長)
小暮氏は、テーブル・フォー・ツーは、途上国の栄養不足と先進国の肥満を同時に解消する取り組みを進めていることを説明。日米の社員食堂で健康食を提供し、売上の一部をミレニアム・ビレッジの学校給食事業に寄付。地元児童の栄養と食糧確保に貢献している。テーブル・フォー・ツーはこれまでに、マラウイ、ルワンダ、ウガンダの学校給食支援のため130,000食分を寄付した。
福林憲二郎氏(住友化学株式会社代表取締役常務執行役員農業化学部門統括)
ロビン・スラター氏(住友化学株式会社産業開発マネージャー)
福林氏とスラター氏は、マラリア対策に係る住友化学とミレニアム・プロミス及びミレニアム・ビレッジの協力関係を説明した。マラリアはサハラ以南地域において、人々の健康を害し、経済生産性を阻害する、極度の貧困の根源となっている。住友化学は、この予防可能な病気の蔓延を食い止めるため、2006年にミレニアム・プロミスと連携し、ミレニアム・ビレッジ内の全ての家庭をマラリアから守るため、長期持続性殺虫剤処理済みの蚊帳33万帳を配布した。同社の蚊帳「オリセット」は感染の軽減に大変有効であり、5年間の使用できる耐久性が評価されている。両氏はマラリアを制することができれば、人々の生産性と児童の就学率が向上し、健康増進と繁栄につながることを指摘した。
ケリー・ワトソン氏 (KPMG パートナー)
世界各国で監査、税務、投資顧問サービスを提供するKPMGからは、この日、各国に散らばる上級社員が集った。ワトソン氏は、同社は2006年からミレニアム・シティ・イニシアチブに参加し、アフリカの第2都市における外国直接投資促進について商業経済に関するアドバイスを無料で提供していることを説明した。同社はカナダ、日本、ロシア、アメリカの同社会員事務所と連携して活動を進め、タンザニア連合共和国のミレニアム・ビレッジの財政支援を行うことを目指す。また、社員の創意工夫を活用し、スキルに基づいたボランティア活動の実現を目指していると述べた。
クリス・クラーク氏 (ニトログループ 最高経営責任者)
トム・ライアン氏 (コンシューマー・キャピタル・パートナーズ 主席コンセプト・オフィサー)
ライアン氏は、コンシューマー・キャピタル・パートナーズ(CCP)はミレニアム・ビレッジ事業への寄付がきっかけとなり、ミレニアム・プロミスと協力関係が始まったと説明した。その後さらに協力関係を深め、ミレニアム・プロミスの活動の進展を速めるため、自社の経験や知識を活用することを希望。ライアン氏は、ニトログループと連携して、通信という自社の専門分野を活用し、一般市民による支援拡大を目指すと発表した。同社はミレニアム・プロミスに主席マーケティング・オフィサーという役職を新設するための財政支援を行う。CCP社は、自社の市場調査により、寛大な成人の大部分は、ミレニアム・ビレッジの支援に関心があるという結果を確認した。CCP社は、今後、支援に対する関心の受け皿の構築に努める。
クラーク氏は、有力な広告企業として熱意を持って課題を議論し、一般市民の共感が得られるような視覚的な印刷物及び媒体を作成するというニトログループの使命を発表した。そして、同社が制作したミレニアム・プロミスの声明ビデオを放映。ミレニアム・プロミスの活動を紹介したそのビデオは、説得力があり共感を呼ぶ内容に仕上げられている。クラーク氏は、ニトログループは今後もミレニアム・プロミスやCCPと連携して、一般市民の熱意を生み出し、企業や高所得者に対して、ミレニアム・プロミスの活動に参加を呼びかけていくと語った。
ハイム・ディボン大使(イスラエル国外務省国際協力局長、MASHAV統括)
ディボン大使はイスラエル国外務省国際協力局長であり同国の国際協力センターMASHAVを統括している。同国はディボン大使を中心に、エチオピア、コラロのミレニアム・ビレッジクラスターで灌漑事業を進めてきた。灌漑及び乾燥地農業技術において、イスラエルは世界をリードする専門技術を有する国であると説明。大使は、イスラエル政府として、ミレニアム・プロミス及び、ミレニアム・ビレッジ事業との協力関係を深めていくことに、重要性があると述べた。
JMイーグル社
ミレニアム・ビレッジ事業インフラ整備コーディネータであるヴィジェイ・モディ教授がミレニアム・ビレッジとJMイーグル社との協力関係の概要を発表。JMイーグル社は水道管を多数寄付し、水道整備とインフラ事業の支援を行っていることを説明。事業の多くが竣工までに20年から30年が費やされる中、同社はおよそ5年間という短期間で竣工している。
ジェフリー・チャーチ氏 (ユニバーサル・ビルディング・プロダクツ 最高経営責任者)
チャーチ氏は、エチオピアのコラロにあるミレニアム・ビレッジ・クラスターを訪れた際に視察した小規模のダム建設について発言。これにより、現地では灌漑設備が整備され二期作が可能になった。ビジネスパートナーであるマイク・ストーン氏とともに、ミレニアム・プロミスと連携して、ミレニアム・ビレッジと周辺地域で未公開株式によるベンチャー投資事業を立ち上げ、新規ビジネス経営支援を行う予定であることを発表。この財政アプローチは、名目収益率をベースとした投資である。また、「Nika」という商品名でボトル入りミネラルウォーターを販売し、その収益を全て、地方の貧困村落での水道整備を支援するミレニアム・プロミスを含めた3団体に寄付する意向を発表した。
鈴木りえこ氏 (ミレニアム・プロミス・ジャパン 創設者、理事長)
鈴木氏は自己紹介の後、マカッサー氏、サックス教授と協力して2008年5月にミレニアム・プロミセス・ジャパンを東京で創立したことを発表した。鈴木氏は、極度な貧困の撲滅とミレニアム開発目標支援というミレニアム・プロミスの使命を日本国民に広く紹介し、支援拡大に向けた取り組みを先導している。鈴木氏は、日本企業に対してミレニアム・プロミスの活動への協力を促す活動を紹介した。
ロネン・ハラリー氏(スピン・マスター 最高経営責任者)
ハラリー氏は、子供のおもちゃを製造するスピン・マスター社がミレニアム・ビレッジ事業への寄付を行い、ミレニアム・プロミスを支援している旨を語った。同社は今後、社員の力を活用し、子供の教育支援を通して、協力関係をいか深めていくか模索していると述べた。
メアリー・ファナロ(オムニピース 創設者、最高経営責任者)
ファナロ氏は、極度の貧困に取り組む自社の活動について発表した。ファナロ氏は自らアフリカ大陸とピースサインをする手をかたどったロゴマークを作成し、Tシャツや衣類に印刷して販売。収益の一部をミレニアム・プロミスに寄付し、衣類を通じて極端な貧困と闘う使命を消費者にアピール。これまでに20万米ドルの寄付が実現した。ファナロ氏は、15社に対してロゴ使用を許諾する予定であり、倫理的な消費者運動の促進に努めたいと述べた。
ジャッキー・コーベリ (ウィットビー校保護者、ブライトラインITV理事長、最高経営責任者)
コーベリ氏は、ミレニアム・プロミスのスクール・トゥ・スクールプログラムのパイロット版の開始を支援した。エリクソン社の協力のもとでインターネット設備が新設され、米国コネチカット州のウィットビー校とウガンダ共和国のミレニアム・ビレッジにある小学校がオンラインでつながった。第一回目の交流で、児童は写真を紹介して自分の生活について話すなど、文化交流を通じてお互いの体験について学ぶことができた。
まとめ
第一回ミレニアム・プロミス・パートナー大会は、ジョン・マッカーサー最高経営責任者と共同創設者のジェフリー・サックス氏が重ねて出席者に感謝の意を述べて、幕を閉じた。大会での議論をふまえ、ミレニアム開発目標の支援においてミレニアム・プロミスが真っ先に取り組まねばならないのは、新たな変革を生み出し、パートナーシップを拡大していくことであると強調した。両氏は、極度な貧困撲滅のため、支援方法や支援の輪を広げる方法についての意見やアイデアを共有するよう、大会出席者に求めた。
(翻訳・田村トリサ&事務局)

アフリカに送る筆記用具を集めています!

ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)では、アフリカ(今回はモザンビーク内)のミレニアム・ビレッジへ送る筆記用具を集めています。
bunbougu.jpg
MPJとニコリ社が企画しているアフリカの子供たちの間に「数独SUDOKU」を普及させる活動のためには、鉛筆を希望していますが、その他の筆記用具も歓迎です。
写真の筆記用具は、埼玉県鴻巣市の田島文具センターからご寄贈いただいたものです。ありがとうございます。

CARE WAVE AIDの皆さま、ありがとうございます!

選ばれた大地1.jpgTシャツ(坂野君・横井さん)_edited-1.jpg11月14日(金)新宿文化センターにて、CARE WAVE AIDがチャリティ・ミュージカル「選ばれた大地アフリカ」(CARE WAVE AID実行委員会代表・鎌田真由美氏)を公演しました。
出演者が全員ボランティアという画期的なミュージカルで、すべての収入はミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)を含む12のNPOに寄付されます。
鎌田真由美様、関係者の皆様、ありがとうございます!!!
MPJではロビーにブースを出し、菊地敦己氏デザイン(ボランティア)オリジナルTシャツを販売したところ(1枚3,000円)、大好評でした。ご協力ありがとうございます!

新しいスポットライトを浴びて(ミレニアム・プロミス)

ニューヨークのミレニアム・プロミスからメールマガジンが届きました。イギリスのシンクタンクがミレニアム・ビレッジ・プロジェクトを検証し、その成果を高く評価したことについて、フィナンシャル・タイムス紙とニューヨークタイムス紙が記事を掲載しています。
*  *  *  *  *
32881[1].jpgミレニアム開発目標達成へ向けて、私達ミレニアム・プロミスの支援活動は大きく評価されています。今日はこのことについて、皆様にご報告します。
英国の大手シンクタンクであるOverseas Development Institute(ODI)は、ミレニアム・プロミスにとって最も重要な取り組みであるミレニアム・ビレッジ・プロジェクトについて独立した審査を行い、先週、その結果を公表しました。公表された報告書で、ODIは、同プロジェクトが「顕著な成果」を達成し、「ミレニアム開発目標達成に向けて、実証性に基づいた低コストの支援・介入で村落レベルに投資を拡大することの効果を実証した。」と評価しました。この報告書を受け、フィナンシャル・タイムズ紙は一面で「ビレッジ・プロジェクトは成功している。」と報道しました。
また昨日の報道では、ニューヨーク・タイムズ紙の特別欄にも、ミレニアム・プロミスに関する記事が掲載されました。同紙は、極度の貧困を撲滅させるため私達が進める支援活動を取り上げ、冒頭に「株安や前途多難な経済に懸念が広がる中でさえ、極度の貧困に苦しむ人々を救うため協力を惜しまないアメリカ人達がいる。」と紹介。最も先進的なビジョンを持つ支援者の一人として知られるジョージ・ソロス氏が、この記事で「(ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトは)構造的な改革をもたらすモデルとなりうる。規模を拡大できれば、非常に大きな変化をもたらす。」と発言しています。

ミレニアム開発目標2015年達成を目指し、私達は活動を続けています。これまで、皆様には常に関心をお持ちいただき、貴重なご支援をいただきました。世界から極度の貧困と飢餓をなくし、予防可能な疾病の感染を食い止める最初の世代となるため、今後も引き続き、私達の取り組みについて周りの方々にご紹介いただくよう御協力ください。
皆様のご支援に感謝いたします。
ミレニアム・プロミス 2008年11月12日
*  *  *  *  *
関連記事は以下です。
The UN Millennium Villages project has been remarkably successful at improving health, education and agriculture in a dozen African settlements, but could be difficult to institute on a larger level because of its reliance on trained staffers, an independent study concludes. Others suggest the improvements, which are funded by international donations, are not sustainable. “What creates sustained growth and poverty reduction is the interaction of village economies with towns and the wider world economy — not pouring in vast amounts of resources to an isolated community,” said one expert. Financial Times (free content) (11/4)
詳細は、以下サイトで↓

http://www.ft.com/cms/s/0/f7d2b80a-aa11-11dd-958b-000077b07658.html?nclick_check=1

(翻訳:田村トリサ&事務局)

東大「人間の安全保障」セミナー報告

去る11月5日、東京大学遠藤貢教授とコロンビア大学地球研究所の協力を得て、東大駒場キャンパスにて「人間の安全保障」セミナー(テーマ:ミレニアム・ビレッジ-MVs)を開催しました。
講師のコロンビア大学医学生ベンジャミン・ボドナー氏が、ガーナとタンザニアにおけるMVsでのボランティア活動から得た経験を通して、「とにかく行ってみなければわからない。ぜひ現地を訪れてほしい」と聴衆に向けて熱いメッセージを送りました。
たとえば、蚊帳配布に関しては、ガーナの村では夜蒸し暑いためなかなか受け入れられず、蚊帳の効果を村人に説明する必要があった一方、タンザニアの村は涼しく苦労なく受け入れられたこと、また自転車支給に関しても、ガーナでは急な坂道が多く自転車での移動は難しかったことなど。現場に行かなければわからない具体的な情報とヴィジュアルで明快なプレゼンテーションに、聴衆からは「役にたった」「悩んでいたけれど将来は途上国支援関連に進みたくなった」などという好意的感想が寄せられました。
冒頭では、ジェフリー・サックス教授、ミレニアム・プロミスCEOのジョン・マッカーサー氏の録画講演も放映されました。
特別ゲストとして、マラウィのルーズベルト・ラストン・ゴンドゥエ大使、ルワンダのエミール・ルワマシラボ大使、セネガルのガブリエル・アレクサンドル・サール大使、ほかケニア、タンザニアの外交官も参加、各大使からコメントをいただきました。
皆様、ご協力ありがとうございました。
Ben-s.jpg120.JPG092.JPGSenegalsmall.jpg
写真は左から、講師のベンジャミン・ボドナー氏、司会の遠藤貢先生、講演中のボドナー氏、セネガル大使。
ビデオ講演内容(翻訳)は「続き」をお読みください。

東京大学「人間の安全保障」セミナー
テーマ: ミレニアム・ビレッジ
2008年11月5日17:00~19:00 
於 駒場18号館4Fコラボレーションルーム#1

【講演】 
講師: ベンジャミン・A・ボドナー氏
コロンビア大学医学部在学中
テーマ:  View from the Ground
【ビデオ講演】
1.講師:ジェフリー・D・サックス教授 
 コロンビア大学地球研究所長。 国連ミレニアム開発目標・パン・ギムン事務総長特別顧問。
ミレニアム・プロミス代表・創設者。
テーマ:Basic Concept of Millennium Villages
2.講師:ジョン・W・マッカーサー氏 
ミレニアム・プロミスCEO
テーマ:Millennium Promise & Emerging Lessons from the Millennium Villages Project
3.講師: ソニア・E. サックス博士 
   コロンビア大学地球研究所・ミレニアム・ビレッジ・プロジェクトヘルスコーディネーター。
小児科医。 公衆衛生学修士。
テーマ:Health Interventions in low income setting
●講師紹介
ベンジャミン・アーウィン・ボドナー 氏
2003年 スタンフォード大学卒業 哲学専攻 ディスティンクション(優等)受賞。 準医学コース ファイ・ベータ・カッパ入会(最優秀学生)。 2004年より コロンビア大学医学部 2009年5月卒業予定。
 2001年 ネパール、カトマンズのカンティパス小児病院にて1ヶ月間研修。2003年米国カリフォルニア州フォスター市ベイショア救急病院にて救急医療に1年間従事。2005年 モンゴ ル・ウランバートルの慈善病院に1か月ボランティアとして勤務。 2007年-2008年 ガーナ、タンザニアのミレニアム・ビレッジ・プロジェクトに半年ずつ、ボランティアとして参加。地域開発プロジェクトの医療コーディネーターらと協働。ガーナでは、ボンサソ・クラスターに滞在。地域医療スタッフの訓練、組織、運営、地域医療施設、遠隔地医療施設への援助、データの集計、栄養不良、妊婦管理、発育促進、リプロダクティブヘルス、HIV/エイズ対策などのプロジェクトに取り組む。タンザニアでは、ムボラ・クラスターに滞在。地域医療への物資供給援助や携帯電話を利用した遠隔医療技術、救急医療対応システムの実施に携わった。
*  *    *
ビデオ講演抄訳】 
(1)ジェフリー・D・サックス教授

テーマ:Basic Concept of Millennium Villages
 北岡伸一会長(東京大学法学部教授・前国連次席大使)と、鈴木りえこ理事長のご熱意とご厚意により、特定非営利活動法人ミレニアム・プロミス・ジャパン(以下MPJ)が、ミレニアム・プロミス(以下MP)のパートナーとして日本で設立されたこと、また、お二人が、日本政府、東京大学、企業の参画を促し、我々の世代における、最も重要な課題である、極度の貧困の解消を目的としたミレニアム開発目標(MDGs)の達成に向けてご尽力なさっていることに深く感謝する。
本日は、ミレニアム・ビレッジ(MV)に関するセミナーの開催をうれしく思う。ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(以下、MVプロジェクト)は人間の安全保障の中核に位置する構想であり、日本政府の多大な支援を得ている。当プロジェクトは、草創期より日本政府と、協力関係にあり、当初の2カ国から10カ国へと発展する上で強力な支援を得た。今秋には、日本外務省の多大な支援により、さらに4カ国が当プロジェクトに加わる。
 MVプロジェクトは、サハラ以南のアフリカの極度な貧困地域へ、人間の安全保障を実現させ、持続可能な経済活動を根付かせる事を目的とした、独創的かつ、実りあるコンセプトであると信じる。このプロジェクトの開始以前、サハラ以南の地域は、電気、安全な飲み水、学校、診療所もなく、低い農業生産性と飢餓という極度の貧困を余儀なくされていた。MVプロジェクトの目標は、MPJを含むMPのパートナーら、また、日本政府、国連、NPO、地域コミュニティー、その他の支援国との連携を通じ、実用的な技術を導入して、コミュニティ自体の参画を促し、極度の貧困状態を改善し、経済発展を目指すものである。
 優先的に行う投資としては、4つの分野がある。1. 農業分野: 食糧の生産性を上げ、付加価値の高い作物を生産する。2. 公衆衛生: 命を奪う疾病の蔓延防止、育児、安全な出産など。3.教育: 就学率の向上、学校施設の改善、給食の提供。4.基本インフラ: 安全な飲料水、衛生管理、電気、安全な調理器具、舗装道路、携帯電話、インターネットの無線接続を通じて、グローバルな情報社会からの孤立状態を脱却するよう努める。
 現在、日本政府を含む様々な支援団体により、最初の5年間は、一人あたり年60ドルを上記4つの戦略エリアに投資し、生産性を高める。さらに、次の5年間は、生産性の向上をベースに、マイクロファイナンス(小規模金融)を通じて、貯蓄、投資、作物の多様化を図り、自立的な経済発展を進めることが可能となる。
 MVプロジェクトは、現在、スタートからちょうど、3年目にあたる。過去2年間は、こうした基本的分野への集中投資が行われた。 農業分野においては、農家に種子や肥料を提供し、生産性の向上がみられた。医療分野では、住友化学等の協力によりマラリア、エイズ、結核の基本的な治療や、簡易な医療施設が設立された。教育分野では、学校施設の改善、教師の派遣、また、給食の提供が行われた。20世紀初頭、日本では、給食の支給が就学率や識字率の向上など教育の大きな発展につながったことを、みなさんもご記憶のことと思います。インフラの整備においては、安全な飲み水の確保、交通手段の整備が行われた。
 MVプロジェクトは、3年目を迎え、さらなる発展に向けて大きな節目を迎えている。
農業分野においては、主要な食物の確保から付加価値の高い作物の収穫を目指す。そのためには、灌漑施設の設置、苗木や新種の作物のための苗床や、畜産を導入して混合農業を行うために養鶏などへ投資する。医療分野では、地域の医療従事者の訓練や、訓練用にも使用でき、また地域の重要な統計情報を記録できるようプログラムされた携帯電話の提供、安全な出産のための緊急外科治療施設の設置、救急医療対策など第2段階への発展を目指す。教育面の次なるステップは、学校にパソコンを設置して、子供たちが、現在世界で使われている技術を学ぶ機会を提供する。さらには、米国や日本、世界の学校をつなぐグローバルネットワークの構築を目指す。インフラ分野においては、電力網の拡大、ソーラーパネルの普及、インターネットの無線接続などの効果的使用が検討される。
  MPプロジェクトの鍵は投資である。投資によって、人々の生産性を上げる。生産性を上げて貧困レベルを脱することが出来れば、二度と貧困レベルに戻ることはないし、援助に依存することもない。より高い技術と生活レベルの恩恵により、収入を得て、将来のための貯えが可能となる。
  日本の偉大な学術界、産業界、経済界によるMVプロジェクトの参加を心から期待している。飢餓や疾病、極度の貧困と闘うため、問題を解決する技術を提供してほしい。地域コミュニティーの参画を促し、我々の最高技術を動員していく一方で、様々な問題を解決するには、パートナーシップが不可欠だ。そうした意味では、日本は世界に手本を示してきた。明治維新後の経済発展戦略や、1960〜80年代には、東南アジア諸国の経済成長を支え、そのモデルとなった。
 次は、アフリカの番だ。日本政府によるMVプロジェクトの支援を心から歓迎する。MVは、人間の安全保障の概念そのものだ。MPJが重要な役割を担うだろう。日本の社会、政府、経済界、市民社会、学術界の方々と連携できることは、非常に名誉である。
 世界の極度の貧困を余儀なくされている人々と活動を共にし、人間の安全保障は机上の空論ではなく、実用的な現実論であることを証明すれば、世界中で貧困からの脱却が可能だ。日本のリーダーシップがあれば、実現できる。日本は、これをすでに達成しているからだ。今度は、アフリカを支援してほしい。 本日は、セミナー開催とご招待いただいたことに感謝する。
(2)ジョン・W・マッカーサー氏
テーマ:Millennium Promise & Emerging Lessons from the Millennium Villages Project
 ミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(以下MVプロジェクト)の内容、これまでの実績と今後の方向性について述べる。
 MVプロジェクトは、国連開発計画(UNDP)、コロンビア大学地球研究所、ミレニアム・プロミス(以下MP)のパートナーシップにより2006年にスタートしたばかりだ。最良の実践的なアプローチや提言をもとに、2015年までに国連ミレニアム開発目標(MDGs)の達成を目指す。このアプローチを実践すれば、おそらく、2015年までにアフリカ各地で大きな経済発展がみられるだろう。すでに確立した技術に、わずかな財政支援をプラスするだけで劇的な発展を生み出す。初期段階においては、肥料、新しい品種の種子、持続効果のある殺虫剤処理済みの蚊帳の普及や、学校給食を提供、診療所の機能改善、治療薬、安全な水の確保などは、すべて、実際的かつシンプルな手段だ。しかしながら、現状では、ほとんどの場合、これらを最も必要とするアフリカの遠隔地に、このような手段は存在しない。MVプロジェクトは、こうした基本的な考えを用い、地域コミュニティーにおいて、飢餓の撲滅、教育の向上、ジェンダーの平等、安全な水の確保、感染症対策を包括的な方法で進めるものだ。
 MPプロジェクトは、当初10カ国(ガーナ、マリ、ナイジェリア、セネガル、エチオピア、マラウイ、タンザニア、ケニア、ルワンダ、ウガンダ)で始まった。これらの国の「飢餓の多発地域」の特徴は、極度の貧困と栄養失調や低い生産性だ。しかし、基本的な取り組みを通じて、大きな改善が可能というのが、プロジェクトのスタート時の仮説であった。MPは、2005年末、MDGs達成にむけて実践的な行動を支援するために設立された。パートナーであるコロンビア大学地球研究所は、科学的領域におけるリーダーシップをとる。国連開発計画は、実行や政策段階でのイニシアティブをとる。
 このプロジェクトのユニークな点は、現地において、その国の地域住民自身が大きな役割を果たすことだ。農業や様々な取り組みに参加経験のある地域の住民をリーダーとして、地域住民の自立を促すためのツールを提供し、包括的なアプローチで彼ら自身がMDGsを達成できるよう支援する。
 1年内に、地域住民は、わずかな外部の支援を受けただけで、農業、保健、教育、インフラの分野で大きな成長と遂げた。わずかな肥料と新しい品種の種子を用いることで、主食としている穀物の生産性が向上し、1ヘクタールあたりの収穫高が1トンから3トンに増えた。全体で、約50万人が住むMVでは(現在80のMVがある。一村に少なくとも5000人が生活する。)肥料や種を使用しただけというシンプルな方法で、一回の生育期に収穫量が2倍、3倍に増加した。
 また、住友化学が開発した蚊帳の普及が、マラリア疾病対策をはじめとする疾病対策に大きな変革をもたらすことが証明された。たったの数か月間、30万帳以上の持続効果のある殺虫処理をした蚊帳が使用されただけで、マラリアの罹患率が大きく減少した。
 MVプロジェクトが開始した年に、世界の他の地域では、いかにしてMDGs達成するかについての検討がなされていたさなかに、MVでは、約50万人の規模で、その達成方法を実現してみせたのだ。
 豊作の年には、食糧生産の増加により、地域で生産された作物を使って、学校給食の支給が可能になった。2008年初めには、7万人以上の児童に給食が毎日届けられた。農業生産の改善が非常に大きな恩恵を生み出すことの一例である。
 診療所が建設され、また、改築されたことで、地域住民は、そこに行けば、医療サービスを受けられるのだと自信を感じ、積極的に家族みなが診療所へいくようになった。
 学校も建設、改築された。給食の導入効果もあって、就学率は、MV全体で、平均して、約20%向上した。短期間に初等教育における就学率の大きな改善につながった。
 地質調査も行われ、井戸の掘削のために、どこに最良の水資源があるかの特定が行われている。安全な飲み水の確保はコミュニティーにとって大きな恩恵である。
 短期間(1年以内)で、収穫率の向上やマラリア発症率を大幅に減少できたことは、コミュニティーに大きな恩恵と活力をあたえた。そして、2年目にして、給食の供給、安全な飲み水の確保、就学率の改善がみられた。
 以上がMVプロジェクトにおけるこれまでの実績である。現地の人々に基本的ツールと少しの権限をあたえ、参画を促すことで、数十万人という大規模な数の住民に結果をもたらすことが可能であるという教訓を得た。
 現在、MPプロジェクトは、いかにして、持続的な成長をはかり、所得を生み出すかを検討中である。地方政府との密接に連携をはかりながら、第1段階(1~5年)の成功を基盤として、第2段階(6~10年)における発展を目指す。現在我々は、第1段階の中間地点に位置する。2011年には、第2段階に移行する。次なる段階へ移行するために、最良で利用可能なサービスを、どの手段で地域に届けるか、また何をすべきかを検討し、さらに、国際機関や先進国のドナーが現在遅れている約束を実行することを確実にする努力をしている。
 MVプロジェクトの中核的提案の一つは、年間に1人当たり、60ドルを支援することであるが、これは4つの優先項目の中身を鑑みれば、非常に少額である。しかしMVの存在するアフリカの国々がいかに貧しいかを考えれば、この投資額は大きい。同時に、この金額は、国際機関がこれまで定めた支援額を大きく下回る。2005年に、G-8サッミットでは、2010年までの一人当たりの援助金額を85ドルとした。基本的な資源やツールがなければ、MDGsの達成はありえないという現実を目の当たりにした。どんなに懸命に働いても肥料や新しい品種の種子、蚊帳がなければ、農業生産性は向上しない。日本は、100年ほど前、低い農業生産からの脱却を遂げた。一貫した政策と投資を通じ、灌漑施設など、水の管理を行い、農業生産の拡大を図り、疾病対策を講じて、インフラや社会基盤への投資が行われた。
 ビジネスの面における現在の優先事項の一つは、収入源の多様化を図るために、付加価値の高い穀物生産へ移行することだ。 3年連続で余剰収穫が得られたことにより、とうもろこし、米、麦、カサバなどの主食から、フルーツや野菜などへ多様化を図る。こうした品種は市場で高い値段で販売できる。ヒマワリの種を、輸出することさえ可能だ。地域レベルで投資家らと話し合って、新たに得られた食糧や余剰を活かして、より付加価値の高い作物への投資を促し、収入を増やして、持続性のある経済成長を目指す。
 次の段階へ移行する中で、さまざまな技術的課題がある。その一つが小規模な灌漑施設の設置である。地理的条件の困難さゆえ、天水栽培による農業が中心のサハラ以南の地域(特にマリやケニア北部)では、農業用水の安定的な確保ができない。安定的な農業用水の確保は、主要農作物の生産性の向上をベースとして、作物の多様化を図るうえで欠かせない要素である。
 以上がMVプロジェクトの現在の概略である。MDGs達成にむけて、第2段階へと移行している。現在、MVは、勢いづき、熱意にあふれている。村レベルから地域レベル(ミレニアム・ディストリクト)へと拡大しようとしている。
 最近、MDGsの達成に決意をしめすウガンダの国会議員らと会談した。 その後、自分たちの選挙区にミレニアム・ビレッジの導入を望むウガンダ国会議員から、私は多くの手紙を受け取っている。また、人口の多いナイジェリアは、別の州にMVを拡大することに意欲的である。ルワンダでは、国家成長戦略としてMVを30の地区に拡大する。マリ政府は、国内初のMVの成功に触発され、食料確保が最も困難な200万人の住む貧困地帯に、MVを導入する計画だ。国際社会からの財政支援は遅れているのが現状であるが、マリ政府は、MVが数十万人規模の村だけでなく、
数百万人規模の地域で成功することを国際社会に示そうとしている。
 サハラ以南のアフリカの人口は、7億人であり、3分の2の人たちが都市から離れた遠隔地で生活している。つまり、アフリカの5億人に、この基本的かつ包括的な取り組みを拡大する必要がある。よって、現在我々がたどり着いた道のりは、まだ、1000分の1にすぎない。(現在MVには、50万人が生活する。) しかし、MVプロジェクトは、その重要性を示した。
 日本政府は、MVプロジェクトの推進において重要なリーダーシップを示している。2005年当初から10カ国へ拡大するプロジェクトを支援している。今年のTICAD(第4回アフリカ開発会議)においては、日本政府が、モザンビーク、マダガスカル、ベナン、カメルーンにさらに支援を拡大する発表したことをうれしく思う。MVプロジェクトは、日本の人々、政府、企業がリーダーシップをとって、この基本的な実例を、さらに大規模に実践できるシンプルなコンセプトである。というのも、これは、最も貧しい地域に、基本的な支援を包括的な方法で、提供するオープンソースな技術アプローチだからだ。
 MVプロジェクトは、ほんの数年前にひとつのアイディアとして始まった。このアイディアが、パートナーシップを通じ、開かれた協働によって、大きな成功につながったことを誇りに思う。さらなる飛躍にむけて、世界中の政府、企業、市民、大学との連携により、MDGs達成に向け、大きく拡大することを望む。
(3)ソニア・アーリック・サックス博士
テーマ:Health Interventions in low income setting
  サハラ以南のアフリカでは、5歳未満の子供の5人に一人が、死亡している。子供の死亡率や罹患率が非常に高い。また、9人に1人の女性の妊娠、出産による死亡率も非常に高い。こうした死亡は予防が可能であり、また治療方法も確立している。しかし、こうした地域では、適切なアプローチが存在しないため、医療サービスが受けられない。
 子供の高い罹患率と妊婦の高い死亡率の原因は、次の3つである。しかし、これらに対して介入はしやすい。過度な疾病負荷の80%は、①感染症 ②栄養不良 ③出産における安全性の欠如である。①感染症について。すでに世界には、確立した予防と治療法がある。エイズ、結核、マラリア、下痢、呼吸器系疾患、寄生虫症、ワクチンによる予防可能な疾患に対しての治療法は存在している。②栄養不良について。鉄分、ビタミンA、亜鉛、タンパク質、カロリーの欠乏によるもので、これらも、適切な農業分野の介入により予防が可能だ。 ③出産における安全性の欠如。現在、出産の多くは、簡易な住居で、医療従事者の介添えなしに、伝統的な方法で、親戚らの援助により、医療器具なしに行われている。分娩停止や大量出血など緊急事態への備えがない。若い女性にとって、出産は、生命の危険を伴うものである。
  公衆衛生分野における、MVプロジェクトの介入は、①医療サービス外の領域と②医療サービス内の領域、2つに大別できる。
① 医療サービス外の領域において。
A. 食料生産の増加。これが最も大切なことだ。なぜなら殆どの疾病の背景に栄養不良があるからだ。適切なカロリー及び微量栄養素の摂取によって、疾病に耐えられる。B.安全な飲み水の確保。不潔な飲み水は、子供の高い罹患率、死亡率の原因となる下痢を起こす。しかし住民の多くは、安全な飲み水の入手に徒歩で数時間をかけている状況だ。C.インフラの整備。子供が重篤な状態に陥った時、また、母親が分娩停止による難産の状態になった場合など、緊急対応の手段(通信、交通など)が皆無である。
 ②医療サービス内の領域においての介入。
現在、アフリカでは、その他の各種サービス同様、公衆衛生サービスが届くのは、第2都市レベルまでだ。行政の資金不足が原因だ。「ラストワンマイル問題」(※ユーザーへの最終工程におけるプロバイダー側からの困難な課題をさす。)という言葉があるが、こうした地域では、診療機関が皆無であり、適切な医療サービスが受けられない。 MVでは、行政、専門家、支援者と連携し、地域当事者による意思決定プロセスを得て、徒歩圏内での実現可能な医療サービスを模索している。具体的例としては、基本的に、各家庭から徒歩2時間内に5000人を対象とした診療所を1つ開設し、医療従事者を配備し、基本的な治療薬や医療器具を備える。また、診療所から病院への紹介制度を確立し、重篤な症状の患者の対応ができるようにする。 しかし、現在、MVの存在するすべての国において、多くの場合、こうした病院には、電気、水道、スタッフ、手術室、治療施設や薬が常備されていない。そこで、基本的に、10万人を対象とした病院においては、24時間体制で医療スタッフを常駐し、手術室を設置し、水道と電気を確保して、緊急対応(分娩停止による難産の場合、帝王切開が可能)ができる設備を整えている。また、1000人を対象とする診療所においては、簡単な手術ができる施設の設置に努めている。
 子供の死亡率改善に非常に大きな影響をもたらすのが、地域ヘルスワーカーの存在である。現在、アフリカでは、50%の優秀な医師らが卒業と同時に海外に渡ってしまう頭脳流出が起きている。地域ヘルスワーカーは、大半が農業従事者であり、訓練を受けておらず、組織に所属していない。治療に必要な施設や医薬品もなく、無償で数時間、働いているのが現状だ。MVでは、彼らを医療専門家として訓練する手助けをしている。このアプローチは、世界保健機関(WHO)など国際機関の高い評価を受けている。地域に、より豊かな生活をもたらす即効性のある方法だ。こうした地域ヘルスワーカーは、必要な訓練や技術を身につけると、直接、各家庭に働きかけるので、大きな影響をもたらす。具体的には、新生児に必要な栄養摂取や、家族計画、衛生管理などについて家庭と直接話し合う。また、経口補水療法(*脱水症を緩和する治療)によって、下痢などの疾病予防ができる。また、マラリア対策においてもマラリア治療薬を用いて、家庭において治療が可能となった。
 こうした公衆衛生のサービスは、無償でアフリカ大陸全土に提供されるべきである。有償の場合、わずかな額でも、サービス拡大の妨げとなるからだ。
 マラリア予防において、持続効果のある殺虫処理済みの蚊帳の普及に大きな貢献をしたのが日本だ。マラリア感染地域のすべての人がこの蚊帳のもとで安眠すべきだ。蚊帳の普及だけでも、マラリアによる罹患率、死亡率が大きく減少した。
 MV内における地域ヘルスワーカーによる新たな介入方法としては、その他に、パソコンの導入がある。スウェーデンのエリクソン社の協力により、インターネットをつなぐことで、必要な情報を、学校や地域コミュニティーに伝達できた。また、ヘルスワーカー各自が、携帯電話を使用することにより、緊急時の対応ができ、データの集計作業が可能になった。また、チェックリストを用いて適切な指導も行うことも可能になった。例えば、妊婦への質問は、ギョウ虫駆除、マラリア予防、鉄分の接取など、適切な妊婦管理ができているかなど。また、1歳の子供であれば、必要な予防接種はされているかなどの質問をする。特別な機能をもった携帯電話の使用により、様々なことが可能なった。
  現在までの実績については、時期尚早ではあるが、初期段階の成果は、MVで大量のデータが集計できたことだ。人口統計調査、社会、経済状況調査、保健や栄養調査、エネルギー、水の供給の調査、マラリア・貧血・微量栄養素欠乏症に関する血液検査、 検便、尿検査、身長、体重検査などを行った。その結果、MVの大半の子供たちが、栄養不良であった。約50%の子供たちが重度の発育不良を起こしていた地域もあった。ケニアやマリの村において、食糧の改善や、浄水の設置、また、住友化学が開発した蚊帳を配布したところ、マラリア予防に大きな改善がみられた。ケニアのサウリでは、18か月でマラリアの罹患率が78%減少した。マリでも同様の結果が得られた。
 いかなる取組みにおいても、監視、評価システムの構築は欠かせない。地域コミュニティーと共に、月ベース、四半期ベースで各プロジェクトの進捗を調査している。
 また、MVでは、すべての住民(特に5歳未満の子供や妊婦を重点的に行う。)の死亡理由を把握するために、地域ヘルスワーカーによる口頭の死亡原因調査が行われている。マラリアが原因か?栄養不良か?分娩停止か?また、さらに踏み込んで、家庭や身の回りの環境など、間接的な死亡原因の調査も行う。通信手段がなかったのか?経済的な理由か?など、予防可能かつ回避可能な死亡に至った原因を解明する。通常の疫学における調査とは異なり、われわれは、こうした調査を管理上のツールとして使う。ヘルスワーカーがこれらの担当者となって、他の医療スタッフと毎月ミーティングを行い、さらなる改善の方法を模索している。
 学生のみなさんに、以上のような地域レベルにおける包括的アプローチによる介入に興味を持って頂けばとてもうれしく思う。また、このアプローチがサハラ以南のアフリカ地域に変化をもたらすことができると信じている。
     (文責 ミレニアム・プロミス・ジャパン)

数独SUDOKUをアフリカの子供たちへ!

日本発の世界的人気パズル、数独SUDOKUのゴッドファーザーと呼ばれる鍛冶真起さん(株式会社ニコリ社長)。彼の夢は「アフリカの子供たちに銃の代わりにペンとSUDOKUを!」というものです。
ミレニアム・プロミス・ジャパンは、数独を通じて少しでも世界平和に貢献したい、という鍛冶社長の願いに共感して、10月に来日なさったモザンビークのMussingue科学技術大臣にご紹介しました。
そこで早速、11月初旬に鍛冶社長がモザンビークの中学校を訪問し、数独のデモンストレーションを行うことになりました。
なお、来年3月には、日本の若者ボランティアをモザンビークに派遣して数独の普及活動に協力する予定です。後日、あらためて告知します。
写真は10月25日アメリカのフィラデルフィアで開催されたSUDOKU全米チャンピオンシップ大会(Inquirer National Sudoku Championships)のもようです。40~50ドルの参加費を払って、約1000人ものSUDOKUファンが競い合いました。Inquirer紙によると、全米の56%もの人々がSUDOKUを楽しんだことがあり、まさに世界一の人気パズルということです。
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左右の写真は全米SUDOKUチャンピオンシップ大会、中央の写真はファンにサインをする鍛冶社長。

国連総会サイドイベント会議の報告(食糧危機)

9月22日国連総会初日に、ニューヨーク国連内で開催されたサイドイベント会議(The Earth Institute at Columbia University, FAO, IFAD, WFP and UNDP 共催)”A Response to the World Food Crisis: Smallholder Agriculture, Food Security and Rural Development in Africa”で、潘基文事務総長とサックス教授らがスピーチを行いました。
会議にはアフリカの農家代表としてカメルーン(右の写真)やケニアの女性たち(左の写真)も参加して活発に発言しました。食糧危機が農家に与える影響は大きく、家計を営む女性たちの負担がさらに増大する懸念が広がっています。また、会議では将来的に「水不足」が及ぼす深刻な状況にも言及されました。

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会議資料に掲載されたミレニアム・ビレッジ・プロジェクト(MVP)に関する文章と、食糧危機に関する事務総長メッセージ簡約は「続き」をお読みください。

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第5回研究会のご報告

村田敏彦氏.jpg 8月に開催された第5回研究会の報告書を掲載いたします。
【テーマ】アフリカと食糧危機
【講師】村田敏彦氏(FAO対国連連絡調整行政官)
【日時】2008年8月21日(木)18:30~20:30
【場所】日本財団ビル2階 第1会議室
【概要】
1.食糧価格高騰問題の現状
2.FAOの政策
3.日本の課題
4.国連と企業の連携の可能性
5.人間の安全保障
6.国連の仕事について
報告書の内容は「続き」をお読みください。

MrMurata.jpg【写真】8月に開催された食糧安産保障に関する会議にて、正面クリントン元米国大統領、右上村田氏
1.食糧価格高騰問題の現状
■ 食糧問題の重要性
今年は、食糧問題が色々なところで随分取り上げられた。
潘基文国連事務総長は当初、今年は気候変動の年であるという認識をもち、1月はじめには気候変動についてのリーダーシップをとっていくという内容のキャンペーンを行っていた。しかし、3月に突然、食糧価格が高騰しはじめ、その結果ハイチ等の中南米・アフリカ諸国で暴動が起こった。食糧価格の高騰による飢餓の問題は、気候変動よりも差し迫った状況にあり、事務総長としては、急遽プライオリティを変えなければならなかった。そこで、事務総長のリーダーシップにより、ハイレベル・タスクフォース(次項参照)というものが作られた。
7月に日本で行われたG8サミットについても、日本は当初独自のプライオリティを考えて準備してきたが、世界的な動向として食糧問題は無視できないということで、結果的に食糧に関する宣言が一つ特別に出された。更には、9月の国連総会において、22・25日と引き続き食糧問題が話し合われることとなっており、今年は食糧問題が非常に重要な課題であることがわかる。なお、9月22日のハイレベル会合、「アフリカの開発ニーズ:各種公約の実施状況、課題および前途(Africa’s development needs: state of implementation of various commitments, challenges and the way forward)」では、コロンビア大学のアース・インスティテュートとローマの三食糧機関*が共同で、サイドイベントという形で専門家の方を集めてパネルディスカッションを開くことになっている。
* 国連には、FAO(国連食糧農業機関)、WFP(国連世界食糧計画)IFAD(国際農業開発基金)の三つの食糧関係のエージェンシーがあり、それらはすべてローマに本部がある。WFPは緊急援助に特化しており、FAOと国連の共管になっている組織である。IFADは、オイルショックの時に、中東からの資金を使い何とか資金援助して食料問題を解決していこうと始められた組織である。
■ ハイレベル・タスクフォース
ハイレベル・タスクフォースとは、事務総長をトップに、31名で構成されたものである。この31名は、UNEP(国連環境計画)、UNDP(国連開発計画)、ユニセフ、WHO(世界保健機関)、WFP(国連世界食糧計画)、DPKO(国連平和維持活動局)、世界銀行、IMF(国際通貨基金)等の各国連機関に所属する人々であり、事務次長の赤坂氏もメンバーである。
このハイレベル・タスクフォースというのは、国連の全システムを総動員して、気候変動と同じような形で、全力をあげて取り組んでいることを世界の方々にアピールすることを目的としたものである。
■ ローマにおける食糧サミット
「世界の食料安全保障に関するハイレベル会合:気候変動とバイオエネルギーがもたらす課題」
上記の通り、今年3月の時点で食糧問題の重要性が認識されたが、各国の大統領・首相クラスが集まることのできる機会というのは非常に少なく、9月の国連総会を待たずして早急に話し合いを進めるため、昨年12月からFAOが準備を行っていた6月のローマにおけるハイレベル・カンファレンスを、食糧サミットとすることとなった。このカンファレンスのファイナルリポートは、国連のウェブサイト(http://www.un.org /)に掲載されている。
なお、この会合名のサブタイトルとして、気候変動とバイオエネルギーが挙げられているが、昨年12月の時点で既に気候変動は非常に大きな問題となっており、バイオエネルギーの問題も、それと関連して存在していた。FAOとしては、専門家集団として、これらが潜在的に食糧価格やサプライに影響を与えてくることを予測しており、これらを踏まえた上で、準備を行っていた。
■ G8サミットにおける宣言
今回の食糧価格高騰は、気候変動やバイオエネルギーの影響によるものである。気候変動は、作物の生育状況に大きな影響を与えている。また、同じ作物でも食用と飼料用、バイオエネルギー用では、品種や作付が異なるため、今回、バイオエネルギーが注目を浴びたことにより、食用の品種の生産が減り、価格が高騰することとなったのである。
6月の食糧サミットにおいては、参加各国の間で、こうした作物の価格を制限するか否かについて最後まで討議が続き、纏まりがなかなかつかない状態だった。メディアでは当然こうした状態にフォーカスが行くので、具体的な成果が何も出なかったかのような報道がなされた。また、G8サミットにおいても、明確な具体案が出ていなかったという批判も出ている。
しかし、G8サミットの宣言文(G8 Leaders Statement on Global Food Security(世界の食料安全保障に関するG8首脳声明))においては、8番目の項ではっきりと以下のことを述べている。
We have tasked a G8 Experts Group to monitor the implementation of our commitments, and identify other ways in which the G8 can support the work of the High Level Task Force on the Global Food Crisis and work with other interested parties for the next UN General Assembly to realize the global partnership.
我々は、G8専門家グループに対し、我々のコミットメントの実施をモニターするとともに、G8が世界食料危機に関するハイレベル・タスクフォースの取組を支援し、次回国連総会に向けて世界的パートナーシップを実現するために他の関係者と協力することができるその他の方法を特定する任務を与えた。
(訳:北海道洞爺湖サミットウェブサイトより

http://www.g8summit.go.jp/doc/doc080709_04_ka.html)

上記のように、G8サミットレベルで、これだけ明確にサミットとUNが協働していくというのは非常に画期的なことである。次回のG8サミットホスト国はイタリアなので、EUが既にこの7月にもFAOの本部の方に集まり、農林水産大臣レベルでこのコミットメントをいかにフォローしていくかということに取り組んでいる。
■ 「ONE UN」としての取り組み
今年は上記のように食糧問題が注目を浴び、本来的な所管機関であるFAOのみならず、国連システム全体でこの問題に取り組む体制が作られている。これは、一つの機関がばらばらに援助を行うのではなく、無駄を省き、連携した支援ができるようにという、前事務総長のコフィ・アナン氏が始めた考え方である「ONE UN」というコンセプトにも当てはまるものである。
国連ミレニアム開発目標(MDGs)ができた背景においても、実はOECDの中のDAC(Development Assistance Committee)(開発援助委員会)が1996年5月から活動して、MDGsの下敷きとなるものを作っていた。要は、国連機関が独自に動いているのではなく、あくまで開発支援をしているOECDと一緒に、方向性や政策を決めて活動しているのである。実際には、OECDサイドでトレンドセッティングのようなことが行われて、そのOECDの会議に各国連機関の政策担当者が必ず顔を出してお互い意見交換をする形で進められている。
■ 世界全体の穀物の生産量
食糧問題が騒がれだした3月あたりから、実際には今年の穀物の出来高は順調である。価格については、穀物によってかなり違いがあり、石油価格の変化にも連動して、作物ごとにかなり動きが出ている。
FAOのウェブサイト(http://www.fao.org/)の「World food situation」には、米や小麦、大豆、コーン等、すべての穀物の作付やトレンド、価格などの統計が掲載されている。よって、3月の時点で、新聞によっては今年後半の穀物の生産量は良好というコメントを付けているところもあった。こうした情報が表に出るか否かは、報道機関の関心の持ち方によるところが大きい。
2.FAOの政策
■ 食糧価格上昇に対するイニシアティブ
食糧価格の上昇と関連していうと、去年の12月から、Initiative on Soaring Food Prices(ISPF)というものがある。これは、食糧価格上昇に対するイニシアティブという考え方で、FAOのウェブサイト(http://www.fao.org)にISPFに関する情報が掲載されているため、今実際にFAOがこの価格高騰に対してとっている政策の内容をご覧いただくことができる。ここでは、食糧価格高騰で影響を受けた国々(アフリカのブルキナファソ、コートジボワール、マダガスカル、モーリタニア、モザンビーク、セネガル。ラテンアメリカで最も問題になったハイチ)について、これらの国の状況と、FAOのとっている対策が説明されている。また、各国が対策をとるためのガイドラインもここに掲載されている。
■ 遺伝子組換えやバイオテクノロジーの問題
FAOの本部ローマでは、発展途上国の貧しい人たちをいかにして助けるかという仕事とは別に、遺伝子組換えやバイオテクノロジー、農薬等の標準化や輸送の際の梱包材の標準化など様々な基準作りをしている。
また、バイオの問題については、専門家会議によりずっとモニターされ、討議されている。
3.日本の課題
■ 日本における報道と関心の在り方
日本においては、飢餓は差し迫った問題ではなく、一般的にはバイオエネルギーの方に興味がいくようである。ニューヨークから見ていると、このような関心の違いを非常に感じる。
イギリスのエコノミストの記事などを見ていると、この食糧価格高騰を、逆に一つの機会ととらえていることがわかる。これまで、第三世界の生産者は、商品を納めることによりわずかな収入を得てきたが、消費者サイドでは非常に高額な支払いをしていた。こうした利益の偏りがある従来のメカニズムの問題をWTO(世界貿易機関)が解決し、正当な貿易を行って、正当な価格やメカニズムを働かせることにより、生産者の収入が上がり、長年問題とされてきた貧困問題の解決の機会になるのではないかという記事をイギリスのエコノミストは載せているのである。
しかし、日本において、こうした視点を記事にすることは難しい。読者がほとんど興味を持たないのである。
■ 日本の人材育成の問題点
日本では、たいてい有能な人材ほど中に置いておく傾向がある。外に出すと時間的にリスクを負わせることになるし、戻ってきても何の評価もないのである。あるいは、企業から国連に派遣された人材も、何年か来て仕事をした後、元の職場に戻ってから全く違う内容の仕事の担当をするケースも多い。
だが、たとえばロシアの今の外務大臣は、十数年にわたり国連大使を務めてきた人物である。アメリカにしろ、フランスにしろ、イギリスにしろ、中国にしろ、約3年毎に大使が変わる日本と比べて、それぞれの大使の経験年数は長い。こうした経験の長い人物が安全保障理事会常任理事国大使を務めれば国連外交上有利になるのは必然ではないか。
日本ができる貢献というのは確かにあるはずである。しかし、それを積極的に行うだけのシステムというのが、はたして日本の社会組織の中にあるのだろうか。現状を招いているのにはそれなりの理由があり、そうした理由を根本から見直す必要がある。
4.国連と企業の連携の可能性
FAOの事務所では、色々な企業の方から、ビジネスの機会や可能性についてのアプローチを受けることがある。
国連では、企業との関係というとグローバル・コンパクトの話が出てくるが、それよりも更に積極的な考え方として、ビジネス・オポテュニティを見つけようとする動きがあっても良いと思っている。たとえば、ある地域の伐採木を使用してバイオエネルギーを作成するにも、UNDPの協力等があれば、現地の政府での許認可も取りやすい。このような形でもっと、国連を利用するような、国連と一緒に何かを進めていこうとするアプローチがあってよいと思う。
国連には、原子力やイランイラクの問題、食糧問題、健康、教育等、世界のすべての問題をカバーする体制ができている。以前は国連の機関の方でも、メンバーステイツについて対応していればそれでよいという考え方があったかもしれないが、最近はシビルソサエティやNGOレベルでの活動が非常に高まってきており、国際機関の人間と民間の人間がコンタクトをとることによって、国連の中でも更におもしろい機会がでてくるのではないか。
5.人間の安全保障
人間の安全保障(ヒューマンセキュリティ)は、日本がはじめて国際舞台で提供したコンセプトであり、コンセプトのみならずファンディングをつけたというのが非常に素晴らしくて意味のあることである。しかし、当初は発展途上国の非常に強硬な反対により、なかなか広まらなかった。発展途上国はこのコンセプトが、他国による国内干渉の口実として利用されることを警戒したのである。その後、カナダが別のソースで出してきたヒューマンセキュリティの概念とも連動しながら、徐々に浸透しつつある。
この、ヒューマンセキュリティ・ファンドを最初にいただいて、プロジェクトを成功させたのがFAOである。FAOは、支援のタイミングを重視しており、支援として単純に種を送ればよいとは考えていない。その国その土地、その時期にあった種を供給しない限り、結局それが無駄になってしまうのである。これが、FAOの支援が他の援助と違う一つの要素であるが、ヒューマンセキュリティ・ファンドにはそこをよく理解していただき、非常に短期間で、タイミングを合わせて許可をいただくことができた。そして、援助により供給された種をその土地で倍増し、それを貧しい農家の人に配っていくというのがFAOのやり方である。
6.国連の仕事について
■ 国連で仕事をすることの大変さ
国連関係の仕事というのは、勤務状況も大変である。日本の大きな銀行や商社等で外へ行けば、たいてい2~3年でローテーションで戻ってくることができる。一方、国連職員というのは「本国」というものがないのだと、第五委員会(国連の中で人事等の問題を討議する委員会)において言われている。よって、仕事においても、自分の人生においても、非常にリスクの高いところである。しかし、自分を頼りに色々な経験をしてみようという人であれば、本当に自分自身しか頼るものがないというのを実感することができる、非常におもしろい職場である。
■ これまでのキャリアと後進へのアドバイス
UNフォーラムのウェブサイト(http://unforum.org/)に国連職員それぞれの、どのような経緯で国連に入り、何を望んで入りどのような活動をしてきて、これから若い人に向けてどのようなアドバイスをしたいかというようなことが掲載されているのでご覧いただきたい。
報告書作成:田村美樹

以上