ミレニアム・プロミス・ジャパン(MPJ)

極度の貧困は根絶できるはずだ
私たちの孫の時代ではなく、
私たちの世代のうちに
極度の貧困は根絶できるはずだ  私たちの孫の時代ではなく、私たちの世代のうちに

カテゴリー:南スーダン難民支援

~ウガンダ事業~ 8月末で「心のケア」事業が終了しました。

5月よりジャパン・プラットフォームの助成金と皆さまのご寄付で実施してきたウガンダ北部における南スーダン難民の「心理社会的ケア」事業が8月末で終了しました。南スーダン難民の方々を心理的にサポートするため、この事業を支えて下さった方々に感謝いたします。

ワークショップに参加した子ども達、MPJウガンダ現地スタッフ、心理社会的ケア専門家・桑山紀彦医師(右後)、MPJ理事長・鈴木りえこ(左後)、ウガンダ駐在員・片野田義人(左前)

ワークショップに参加した子ども達、MPJウガンダ現地スタッフ、心理社会的ケア専門家・桑山紀彦医師(右後)、MPJ理事長・鈴木りえこ(左後)、ウガンダ駐在員・片野田義人(左前)

6月中旬に現場に入り、心理社会的ワークショップで トラウマを抱える子ども達に寄り添った理事長・鈴木りえこ

6月中旬に現場に入り、心理社会的ワークショップで
トラウマを抱える子ども達に寄り添った理事長・鈴木りえこ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

準備期間を除くと3ヶ月ととても短い期間でしたが、60人の難民の子ども達が継続的にワークショップに参加し、彼らの心境や態度に変化が生まれたことを目の当たりにしてきました。家族や友人を殺された、路上に転がっている死体を見た、殺人を強要させられた、レイプされ、家を焼かれた、そんな凄まじい経験をしてきた子ども達ですが、ワークショップでは時には笑顔、時には涙を見せながら、MPJスタッフに心を開いて話をしてくれました。「つらい経験をしているのは一人じゃない。みんなに話すことで楽になった。」と言ってくれる子ども達も多く、この事業を実施できて本当に良かったと思っています。

 

また、難民居住区の小学校の先生方152人とコミュニティの難民の方々1,165人が、専門家によるセミナーを通して子ども達や自分自身の心理的問題を解決するための知識を得ることができ、「とても役に立った」という声をたくさん聞いてきました。

 

衣食住や医療など目に見える支援も非常に大切ですが、避難生活が長期化してくると心の問題も顕著になり、それを解決する手助けが必要になります。今回MPJは南スーダン難民の心の問題に向き合い、心理社会的支援を実践してきました。

 

<心理社会的ワークショップ> 7月後半から8月にかけては、心理社会的ワークショップも大詰め。子ども達は、描画や粘土細工よりも更に表現方法の難易度を高めた「ジオラマワークショップ」そして「音楽ワークショップ」に臨みました。   ジオラマワークショプでは「将来自分の住みたい町」をテーマとして、グループで議論をして町に何が必要かを話した後、色鉛筆と粘土を使って自分達の町を作り上げました。南スーダンで失ったもの、ウガンダでの避難生活で足りないものなど様々な想いを「理想の町」という形にしていきました。全てのグループが「この町は平和で、戦いは一切ない!」と語っていたのが印象的でした。

 

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「音楽ワークショップ」は今回のプログラムでの最終段階で、子ども達が自分たちの「過去」「現在」「未来」について歌詞を作り、みんなの前で発表しました。

 

 

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あるグループが音楽ワークショップで作った歌詞を紹介します。

 

♪戦争の前、南スーダンで両親は生きていた

今よりも良い学校に通って、友達と一緒だった

戦争中、女性はレイプされた

両親は殺された。子ども達は亡くなった

生活は苦しかった。道路は閉鎖された

平和をなくして、逃げるしかなかった♪

 

♪難民キャンプに着いた時、生活は大変だった

みんな病気なった。食料は足りなかった

今は学校に通えるようになった

食べ物はあるし、幸せだ

平和に暮らしている。治安もいい

水もあるし、前より良くなった♪

 

♪良い先生になりたい。看護士になりたい

エンジニアになりたい

私たちの国、南スーダンのために

国を再建したい。最高の未来のために

私たちはなりたい。平和を愛する人に

希望の人に、生活の救世主に♪

 

ここまでワークショップに参加した子ども達は、約3か月前に第一回ワークショップに来た時とは表情が全然違っていました。よく話すようになり、自然と笑顔も見せられるようになりました。

 

お父さんやお母さんが目の前で殺された過去を変える事はできません。でも、これからどう生きるかを決める事は出来る。ワークショップに参加した子ども達には、トラウマに押しつぶされず、前向きな人生を歩んでもらえる事を願っています。

 

MPJは、今後も南スーダン難民に心理社会的ケアを届けられるよう準備を進めています。またウガンダ北部で今回のような事業を開始できるよう頑張りますので、これからも応援よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

◆(ウガンダ事業)教員や難民コミュニティを対象にメンタルヘルスセミナーを実施しました!

<教員とコミュニティ向けのセミナー>

5月から始まった南スーダン難民への心理社会的ケア事業では、ウガンダで20年以上心理的ケアを実施している現地NGO「TPO Uganda」とパートナーシップを結んでいます。「TPO Uganda」から精神科医や臨床心理士を派遣してもらい、難民居住区でメンタルヘルスの基礎知識を伝えるセミナーを実施しています。

 

7月末までに、難民居住区で働く103人の先生方と779人の南スーダン難民がセミナーに参加しました。セミナーでは、鬱やPTSD(心的外傷後ストレス障害)など難民が頻繁に患う精神的疾患についての説明や、不安やストレスを和らげるための簡単なエクササイズの方法を紹介しています。

 

教員向けセミナーで先生方に講義するTPO Ugandaの臨床心理士

教員向けセミナーで先生方に講義するTPO Ugandaの
臨床心理士

 

難民居住区の教会で実施された コミュニティ向けセミナー

難民居住区の教会で実施されたコミュニティ向けセミナー

 

コミュニティ向けセミナーに参加した難民の方からは「はじめて聞いたことが多くて勉強になりました。セミナーに参加出来なかった近所の人々にもこの知識を伝えたいし、今日習ったエクササイズを実践しようと思います。」といった声が聞かれました。

 

正規の教員として働くウガンダ人と補助教員として働く南スーダン人の先生方は、紛争のトラウマを抱えていたり、居住区での生活にストレスを感じていたりする多くの子ども達と毎日学校で会っています。

 

参加者の一人は「セミナーでの知識は、精神的な問題を持った子ども達に接するうえで欠かせないものでした。子ども達のトラウマを認識して、学校でも適切な支援をすることが大切だと学びました。」とおしゃっていました。

 

教員を研修することでMPJが直接支援を届けられない難民の子ども達にも、心理的ケアが実施される事が期待されています。

 

精神を落ち着かせるための誰でも簡単にできる エクササイズ

精神を落ち着かせるための誰でも簡単にできるエクササイズ

 

教員向けセミナーでMPJの活動を説明する駐在員・片野田

教員向けセミナーでMPJの活動を説明する駐在員・片野田

 

 

<心理社会的ワークショップ>

南スーダン難民の子ども達を対象にした「心理社会的ワークショップ」も継続しています。「嫌いなもの・こと」「失ったもの・こと」「忘れられないあの日」といったテーマで粘土細工をしたり、針金と粘土でこれまで生きてきた人生を表現する「針金の人生」ワークショップを実施しました。MPJのワークショップに慣れてきた子どもたちは、徐々にトラウマ体験を自分の言葉で語れるようになってきました。

 

MPJスタッフと友達の前でトラウマ体験を語る児童

MPJスタッフと友達の前でトラウマ体験を語る児童

 

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子ども達の作品「忘れられないあの日」

 

7月3日~19日まで、日本人のボランティアの方が現地を訪れ、実際に心理社会的ワークショップに参加しました。その方が感じたことを文章にしていただいたので、是非ご一読ください。


「これは誰?」

「お父さん。」

「お父さんは何をしているの?」

「銃で撃たれて殺されたところ。」

「お母さんは?」

「いない、死んじゃったから。」

 

これは、MPJによる心理社会的ケアの粘土細工ワークショップに参加した際の、ある子供とのやり取りです。初めはあまりの悲惨さに驚きを隠せませんでした。ですが、これはここにいる子供たちに共通した会話だとすぐに気づくことになります。

 

南スーダンの紛争により、ウガンダへ逃れてきた子供たち。ワークショップに参加している子供たちの多くが家族のほとんどを失っていました。遠い親戚や赤の他人が保護者になっている子供もいれば、保護者が全くいない子供もいます。一見、普通に学校に通っている生徒に見えますが、ほんの少し話を聞くだけで凄惨な過去が浮かび上がります。目の前で親が殺された子供、家を燃やされた子供、死んだ親の姿を見て失神してしまった子供、大量の人が殺されるところを目撃してしまった子供。子供たちのストーリーは少しずつ違っていますが、子供たち全員が想像することすら難しい状況を経験しています。

 

ワークショップでは造形等を使い、子どもたちに自分の経験を話してもらうのですが、聞いていると不自然なところに気づきます。

 

多くの子どもたちが初めに体験を語る際、自分の感情に全く触れないのです。聞くだけでも辛い経験だというのに、まるで他人事のように感情を交えずに話すのです。感情を切り離して生きることだけに集中してきたのかもしれません。

 

ワークショップではファシリテーター達がその不自然さをすぐに読み取り、怖がらせないように質問を繰り返します。初めは淡々と答えていた子供達も、次第に言葉に詰まったり、涙を流したりしながら少しずつ自分の感情を表現していきます。一連のやり取りが終わると、自分の感情を吐き出した子供達に笑顔が見られます。その笑顔には清々しさと達成感のようなものが見て取れます。

 

幼くして家族を失い、悲しむ暇もなく生存のためだけに全力を注いできた子供達。彼らに自分に起きたことを振り返り、話を聞いてもらう機会が今までどれだけあったのだろうかと考えずにはいられません。ここにいる子供たちのレジリエンス(精神回復力)には目を見張るものがあります。ですが、彼らの経験はそのレジリエンス(精神回復力)だけでは超えられないのではないか、食べ物や服と同じように心理的な援助が必須なのではないか、と改めて感じています。子供たちが笑顔で家路につく姿を見ながら、このような機会を与えられることによって彼らの未来は確実に変わっていくのだろうと確信しています。

 

 

 

 

 

 

◆(ウガンダ事業)心理社会的ケア専門家・桑山紀彦医師が現地入りしました!

<心理社会的ワークショップ>

2018年5月から開始した新事業「ウガンダ西ナイル地域の南スーダン難民居住地区における心理社会的支援」ですが、6月に入り本格的に南スーダン難民の子どもたちのための心理社会的ケアワークショップを実施しています。ウガンダ北部にあるビディビディ難民居住区にある小学校2校で、4グループ(1グループ15~16人)にワークショップを受けてもらっています。

 

このワークショップでは、描画、粘土細工、針金を使ったアクティビティ、音楽という創作活動を通して、参加者が自分たちの抱えるトラウマに向き合うことを目的としています。テーマに沿ってそれぞれに作品を作ってもらい、なぜその作品を作ったのか、どんな気持ちで作ったのか等をグループで共有します。

 

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(描画セッションで子ども達が描いた「忘れられないあの日」)

 

子ども達はワークショップに慣れていないこともあり、最初は発言するのを恥ずかしがっていました。でも2回3回とワークショップを実施するうちに、MPJスタッフとも気さくに話せるようになり、自分の心情や経験を少しずつ語れるようになってきました。

特に「失ったもの・こと」「忘れられないあの日」というテーマのセッションでは、涙を流し感情を露わにしながら、南スーダンで家族を殺されたことなど紛争の記憶を話せた子ども達がたくさんいました。心理社会的ケアでは、涙をながしながらつらい経験を人前で話すというプロセスがとても大切です。語ることによって記憶と感情が整理され、どれだけつらい経験があってもトラウマに向き合うことが出来て徐々に心が軽くなっていきます。

 

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(作品をみんなの前で発表する子ども達)

 

<心理社会的ケア専門家及び理事長の現地視察>

この事業は心療内科医/精神科医で心理社会的ケアの専門家である桑山紀彦医師に監修していただいています。6月19日~23日まで桑山先生が現場を訪問され、心理社会的ケアワークショップのファシリテーションや保護者と教員に対するセミナーを実施されました。

ワークショップに参加している子ども達の保護者や難民居住区内の小学校で働く先生方をセミナーに招待し、子ども達が受けている心理社会的支援について理解を深めてもらいました。参加いただいた保護者・先生からは自分自身が抱えるトラウマについても考える事が出来たと大好評でした。

同じ日程でMPJの理事長の鈴木りえこも事業を視察しました。心理社会的ワークショップでは理事長も涙を流しながらトラウマ体験に聴き入り、子ども達に寄り添いました。セミナーに招待した現地政府や国連機関の担当者からもMPJへの感謝の言葉が送られ、南スーダン難民への心理社会的支援の継続を要請されました。

 

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(音楽ワークショップで、子ども達に歌の例を聞かせる桑山医師(左)、MPJウガンダ人スタッフと駐在員・片野田(右))

 

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(子どものストーリーに耳を傾ける理事長・鈴木りえこ)

 

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(音楽ワークショップで過去の体験について歌詞を作っている子ども達とピアノを演奏する理事長・鈴木りえこ)

 

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(教員に心理社会的支援の方法論を伝える桑山医師)

 

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(保護者に「トラウマとは何か」を説明する桑山医師)

 

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(学校の前で子ども達と記念撮影)

 

桑山先生ご自身も、ウガンダ出張についてブログで詳しくレポートされています。是非ご覧ください!

ウガンダ活動記録① https://blog.e-stageone.org/?p=4488

ウガンダ活動記録② https://blog.e-stageone.org/?p=4494

ウガンダ活動記録③ https://blog.e-stageone.org/?p=4494

ウガンダ活動記録④ https://blog.e-stageone.org/?p=4509

ウガンダ活動記録⑤ https://blog.e-stageone.org/?p=4518

 

 

(ウガンダ事業)心理社会的ケア事業を開始しました!

<事業開始、ウガンダへ渡航>

 

昨年よりMPJが準備を進めてきた南スーダン難民への心理社会的ケア・プロジェクトは、ジャパン・プラットフォーム(JPF)より助成金をいただき、5月1日より本格的に子供を対象としたパイロット事業として開始されました。クラウドファンディングでも多くの方々からご支援をいただき、おかげ様で無事に事業が開始出来たましたことを、改めまして皆さまにお礼申し上げます。

 

 

5月初旬には現地駐在員として派遣された片野田義人がウガンダ北部の難民居住区での活動を開始しました。MPJが単独で難民支援事業を実施するのは今回が初めてですが2017年夏から2018年3月までピースウインズ・ジャパンと協働で水衛生分野での難民支援を実施した経験を活かして、難民の方々に良い支援を届けられるよう全身全霊で活動に取り組んで参ります!

 

心理社会的ワークショップでファシリテーションを行う駐在員・片野田

 

 

<事業内容>

今回の心理社会的ケア事業では、様々な困難と向き合ってきた難民の方々に少しでも良好な精神状態を回復していただくため、大きく分けて3つの活動を行います。また、この事業には、日本における心理社会的ケアの第一人者・桑山紀彦先生(精神科医/心療内科医、地球のステージ代表理事 http://e-stageone.org/stage/kuwayama/)にアドバイザーとして関わっていただいています。

 

1.子ども達のための心理社会的ワークショップ

紛争で経験したトラウマをテーマに創作活動(描画・粘土細工・音楽等)を実施し、それらを通してトラウマと向き合い、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を防ぐことを目指します。約60人の子ども達が、週1回全12回のワークショップに参加します。

 

心理社会的ワークショップについて児童(左)と保護者(右)に説明するMPJ現地スタッフAlice(中央)

 

 

ワークショップに参加する子ども達

 

 

2.保護者・教員のためのセミナー

つらい経験を持つ子ども達の周りの大人が、トラウマやPTSDとは一体何なのか、どうやってトラウマを持つ子ども達と接すればいいのか等を理解し、子ども達をサポートできるような体制を作ります。合計で200人近い保護者と先生方がセミナーを受講します。

 

3.難民コミュニティでのセミナー

精神病とは何なのか、鬱や不安をどうやって軽減できるのか等、メンタルヘルスの知識を得る機会のない難民の方々のために、日々の生活に役立つ実践的な知識を伝えます。合計で750人の方々がこのセミナーに参加します。

 

<心理社会的ワークショップの準備>

難民居住区の小学校の先生方にトラウマが原因で精神に不調のみられる子ども達のリストを作成してもらい、さらにMPJスタッフが児童に対して心理テストを実施することでPTSDを発症するリスクの高い子ども達を把握し、ワークショップに参加してもらう子ども達をリストアップしました。

5月中は先生方と打ち合わせをしたり、家族の家を一軒一軒まわったりして子ども達がどのようなワークショップを受けるのかを説明しました。紛争で家族を亡くしてしまった子ども達も少なくないため、ワークショップに参加して少しでも彼らの心が軽くなるようにと願いながら、活動を進めています。6月から週1回のペースで本格的にワークショップを開始するので、次回のブログで詳しく報告します。